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情報セキュリティ
楕円曲線暗号は、y^2 = x^3 + ax + b(a, b は定数)で表される楕円曲線上の点同士の演算(加法)において、「ある点Pを何回足し合わせると別の点Qになるか」を求めることが非常に困難であるという「楕円曲線上の離散対数問題(ECDLP:Elliptic Curve Discrete Logarithm Problem)」の数学的な困難性を安全性の根拠としています。この計算は、順方向(かけ算に相当する足し合わせ)は極めて簡単に行えますが、逆方向(点Pと点Qから足し合わせた回数を求める)は総当たりで計算するしかなく、天文学的な時間がかかります。従来の公開鍵暗号方式であるRSA暗号が「巨大な素数の因数分解」を安全性の根拠にしているのに対し、楕円曲線暗号はより数学的に複雑な構造を持っているため、攻撃者が解読するのに必要な計算量が指数関数的に増大します。そのため、はるかに短い鍵長で同等以上の安全性を実現できます。例えば、RSA暗号で安全とされる2048ビットの鍵長と同等の安全性を、楕円曲線暗号では約224〜256ビットという、約10分の1の鍵長で提供できます。これにより、暗号化・復号に必要なメモリやCPUの計算負荷が大幅に軽減され、バッテリー消費の抑制にも直結します。通信帯域が限られたモバイル環境や、メモリ容量が極端に小さいスマートカード、センサーデバイスなどのIoT機器において、現代のセキュリティを支える上で欠かせない基盤技術となっています。