排他制御(Mutual Exclusion)は、マルチタスクやマルチスレッド環境において、複数の処理が「同時にアクセスしてはいけない共有の資源(データ、ファイル、ハードウェアなど)」を取り扱う際に、データの矛盾や破壊を防ぐための極めて重要なメカニズムです。この同時にアクセスしてはならないプログラム上の区間を「クリティカルセクション(危険領域)」と呼びます。例えば、銀行の口座残高が10万円のとき、Aの処理が「5万円引き出す」、Bの処理が「3万円引き出す」という操作を完全に同時に行ったとします。もし排他制御がないと、両方が「現在の残高は10万円」というデータを同時に読み込み、Aは「残高を5万円に上書き」、Bは「残高を7万円に上書き」してしまい、結果として後から書き込んだデータのみが残り、重大なデータの不整合(ロストアップデート問題)が発生してしまいます。