エンタープライズアーキテクチャ(EA)の最大の目的は、「全体最適化」です。長年経営を続けている大企業や官公庁では、各部門(営業、人事、経理など)が自分たちの業務をやりやすいように個別にシステムを開発・導入してきた歴史があります。これを「サイロ化(縦割り)」や「スパゲッティ状態(複雑に絡み合った状態)」と呼びます。この状態を放置すると、会社全体で見たときに同じようなシステムがいくつも存在したり、部門間でデータの受け渡しができず手作業が発生したりと、無駄なコストや非効率が生じます。EAは都市計画に例えられます。家(各部門のシステム)をバラバラに建てるのではなく、道路や水道、電気の配線(データやインフラ)といったインフラストラクチャの全体設計図を描き、それに従って個別のシステムを整理・統合していくアプローチです。EAを推進するためには、現状の姿(As-Is:アズイズ)を把握し、理想となる将来の姿(To-Be:トゥービー)を描き、そのギャップを埋めるための移行計画を策定するというステップを踏みます。これにより、重複したIT投資の削減、変化に対する柔軟な対応力の向上、ガバナンス(統制)の強化といったメリットが得られます。一方で、EAの導入には組織全体を巻き込む強力なリーダーシップが必要であり、効果が出るまでに時間と労力がかかるという難しさもあります。