標的型攻撃メールは、特定の企業が持つ知的財産や個人情報を盗み出すために、巧妙な手口で送られるサイバー攻撃です。一般的な迷惑メールやスパムメールとは異なり、受信者の実在する取引先名やプロジェクト名を語り、さらに日常のビジネスで交わされるような丁寧な日本語で書かれているため、セキュリティシステムによる自動検知をかいくぐって従業員の受信ボックスに届くリスクが極めて高いのが特徴です。これを防ぐために行う標的型攻撃メール訓練は、従業員に対して「怪しいメールを見抜く目」と「クリックしてしまった後の迅速な報告行動」の両方を身につけさせるために実施します。訓練は単発で終わらせるのではなく、メールの件名や難易度(一見して怪しいものから、非常に精巧なものまで)を変えながら年に複数回実施し、組織全体の開封率を徐々に下げていくアプローチが有効です。また、訓練の真の目的は「引っかかった社員を叱責・特定すること」ではなく、「万が一開封してしまった際に、隠蔽せずに即座にCSIRTなどの管理部門へ報告できる信頼関係・体制(通報訓練)」を構築することにあります。
試験においては、標的型攻撃メールの特徴(取引先や業務連絡を装い、特定の組織を狙って送られる)と、それを踏まえた訓練の手順や目的が問われます。特に出題されやすいのが「開封率をゼロにすることは不可能であるため、開封した後の報告の迅速化(インシデントへの初動対応)を訓練することが重要である」という考え方です。また、標的型攻撃メールで見られる技術的・文面上の特徴(送信元のドメイン名がわずかに異なる、添付ファイルの拡張子が二重になっている、リンク先URLが不審など)について従業員が気づくべきポイントが問題の選択肢として登場します。
標的型攻撃メール訓練に関連する用語には、従業員全体の防衛意識を高める「セキュリティ教育・訓練」、インシデントが発生した際に連絡を受ける組織である「CSIRT」、およびメールの開封時にマルウェアを検知して遮断する「多要素認証」や「アクセス制御」などの技術的対策があります。