バックアップはデータ消失・システム障害からの復旧手段として不可欠です。バックアップ種類・保存場所・頻度を組み合わせて、RTO/RPO目標に合わせた戦略を策定します。
バックアップ種類比較表
バックアップ種別:容量・時間・復元性の比較
| 種類 | バックアップ内容 | 容量 | バックアップ時間 | 復元時間 | 必要なセット |
|---|---|---|---|---|---|
| フルバックアップ | 全データを毎回 | 大 | 長い | 短い | 最新フルのみ |
| 差分バックアップ | 前回フル以降の変更分 | 中(増加) | 中 | 中 | フル+最新差分 |
| 増分バックアップ | 前回バックアップ以降の変更分 | 小 | 短い | 長い | フル+全増分を順次適用 |
バックアップ範囲の時系列図
1週間のバックアップスケジュール:各方式でどこからどこまでバックアップするか
日
月
火
水
木
金
土
フルバックアップ(毎回全データ)
バックアップ
復元に必要
最新のフル1つだけ → 復元が最も速い
差分バックアップ(日曜にフル → 以降は日曜との差分)
バックアップ
範囲図
日→月の変更
日→水の変更(増大)
日→土の変更(最大)
復元に必要
フル+最新の差分の2つ → 復元は中程度
増分バックアップ(日曜にフル → 以降は前日との差分のみ)
バックアップ
範囲図
月だけ
火だけ
水だけ
木だけ
金だけ
土だけ
復元に必要
フル+全ての増分を順番に適用 → 復元が最も遅い(1つでも欠けると不可)
バックアップ容量の推移グラフ
各方式の1週間のバックアップ容量推移
3-2-1バックアップルール
3-2-1ルール:業界標準のバックアップ戦略
3:3つのコピー 元データ+バックアップを合計3つ保持。1つの障害で全データを失わない
2:2種類の媒体 異なる種類のストレージ(例:HDD+クラウド)に保存。媒体固有の障害に対抗
1:1つはオフサイト 少なくとも1つは別拠点・クラウドに保管。火災・水害・盗難などの物理災害対策
RTO / RPO とバックアップ頻度の関係
RTO・RPO定義と設計指針
RTO(Recovery Time Objective)
目標復旧時間:障害発生から業務再開までの許容時間。RTOが短い(1時間以内)→ ホットスタンバイ・高速レプリケーションが必要
RPO(Recovery Point Objective)
目標復旧時点:障害発生時に失ってよいデータの最大量(時間で表現)。RPO=1時間 → 1時間ごとのバックアップが必要
RTO/RPO 時系列イメージ
最終バックアップ
← RPO(失われるデータ量)→
障害発生!
← RTO(復旧時間)→
復旧完了
RTO/RPOと対策手段の関係
| RTO/RPO | 対策手段 | コスト |
|---|---|---|
| 秒〜分単位 | ホットスタンバイ・同期レプリケーション | 非常に高い |
| 時間単位 | 増分バックアップ・非同期レプリケーション | 中 |
| 日単位 | 日次フルバックアップ | 低〜中 |
| 週単位 | 週次バックアップ(テープ等) | 低い |
クラウド vs オンプレミス バックアップ
バックアップ方式比較
| 項目 | クラウド | オンプレミス |
|---|---|---|
| 初期コスト | 低い(従量制) | 高い(ハード購入) |
| スケーラビリティ | 即時・無制限 | 都度ハード増設 |
| 復元速度 | ネットワーク帯域に依存 | 高速(内部ネット) |
| オフサイト性 | 標準でオフサイト | 別途対応が必要 |
| 代表サービス | AWS S3, Azure Backup | NAS, テープ, SAN |