Chapter 24
科目A|システム構成要素の用語を順に解説します。
デュアルシステムとは デュアルシステム(Dual System)とは、信頼性を高めるためのシステム構成方式の一つで、2組の全く同じシステムを「同時に稼働」させ、常に同じ処理を行わせる仕組みのことです。2つのシステムは常に同じデータを処理し、それぞれの処理結果が一致しているかを照合(クロスチェック)しながら動作します。もし一方のシステムにエラーや故障が発生した場合は、故障した側を自動的に切り離し、正常なもう一方のシステムだけで処理を継続します。処理を中断することなく、瞬時に異常を検知して切り替えられるため、極めて高い
デュプレックスシステムとは デュプレックスシステム(Duplex System)とは、信頼性を高めるシステム構成方式の一つで、稼働する「主系(アクティブ)」と、予備として待機する「従系(スタンバイ)」の2系統を用意しておく仕組みのことです。通常時は主系だけが本番の業務処理を行い、従系はいつでも交代できるように準備をしておきます。主系が故障した際には、予備の従系に処理を引き継いでシステムを継続します。待機状態には、電源を入れて即座に切り替えられる「ホットスタンバイ」と、普段は別の処理をしており切り替えに多少の時間がか
クラスタリングとは クラスタリング(Clustering)とは、複数台のコンピュータをネットワークで接続し、まるで「1台の巨大なコンピュータ」であるかのように連携して動作させる仕組みのことです。この集まったコンピュータ群のことを「クラスター」と呼びます。クラスタリングを行う主な目的は、システムの処理能力を向上させること(負荷分散)や、一部のコンピュータが故障してもシステム全体が停止しないようにすること(高可用性)です。利用者は、背後で何台のサーバーが動いているかを意識することなく、1つのシステムとして利用することが
ロードバランサとは ロードバランサ(Load Balancer:負荷分散装置)とは、ネットワーク上の複数のサーバーに対して、外部からのアクセス(通信要求)を均等に振り分けるための装置やソフトウェアのことです。Webサイトやオンラインゲームなどへのアクセスが特定の1台のサーバーに集中すると、そのサーバーの処理が追いつかなくなり、表示が遅くなったりシステムが停止したりします。ロードバランサをサーバーの手前に設置することで、アクセスを各サーバーの空き状況や性能に応じて分散させ、システム全体の安定稼働とパフォーマンスを保つ
冗長化とは 冗長化(じょうちょうか)とは、システムに障害が発生したときに備えて、機器や回線、データなどの構成要素に「予備」を加えて二重以上に配置しておくことです。英語ではリダンダンシー(Redundancy)と呼びます。単一の部品が壊れただけでシステム全体が止まってしまうポイント(単一障害点)を無くすために行われます。冗長化しておくことで、ある部品が故障しても自動的または手動で予備の部品に切り替わり、サービス全体を止めることなく安全に稼働し続けることができます(フォールトトレランスの実現)。 具体例 最も身近な例は
RAIDとは RAID(Redundant Array of Inexpensive Disks:レイド)とは、複数台のハードディスクやSSDなどのディスクドライブを組み合わせることで、まるで「1台の仮想的な大容量ドライブ」として管理し、信頼性や処理速度を向上させる技術です。ディスクが1台故障してもデータを失わずに運用を続けられる「冗長性」を持たせる仕組みや、データを分割して同時に書き込むことで「高速化」を図る仕組みなどがあり、組み合わせ方によっていくつかの種類(RAID0、RAID1、RAID5など)に分類されま
NASとは NAS(Network Attached Storage:ナス)とは、ネットワーク(LAN)に直接接続して使用する、ファイル保存専用のハードディスク(ストレージ)のことです。通常のハードディスクはUSBケーブルなどでパソコンと「1対1」で接続しますが、NASはルーターやスイッチを介してネットワーク全体に接続されるため、同じネットワーク内にある複数のパソコンやスマートフォン、タブレットから「同時に」データを読み書きすることができます。オフィスでのファイル共有や、自宅での家族間の写真・動画の共有などに広く使
仮想化とは 仮想化(Virtualization)とは、物理的なIT資源(CPUやメモリ、ディスクなど)をソフトウェアの力で分割したり統合したりして、異なる構成に見せる技術です。最も一般的な例は、1台の高性能な物理サーバー上で、複数の仮想マシン(VM)を独立して同時に動かす「サーバー仮想化」です。これにより、機器を効率的に使え、導入コストや管理の手間を大幅に削減できます。 具体例 大きな一軒家を壁で区切って「シェアハウス」にし、複数の住人が個室で独立して生活する様子に似ています。住人同士はお互いの部屋の中身を見られ
コンテナとは コンテナ(Container)とは、OS(基本ソフト)の機能を利用して、アプリケーションを実行するために必要なプログラムや設定、ライブラリなどを1つにまとめ、他のプロセスから隔離された「独立した実行環境」を作り出す技術です。従来の仮想化(VM)は仮想マシンごとに異なるOSを丸ごと動かす必要がありましたが、コンテナはホストOSのカーネル(核となる部分)を共有するため、非常に動作が軽く、起動も数秒で行えます。この軽量さとポータビリティの高さから、開発環境と本番環境を一致させる用途や、クラウドでの運用に欠か
VDIとは VDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップ基盤)とは、企業のサーバー上に用意されたデスクトップ環境(WindowsやMacなどの画面)を、ネットワーク経由で手元のパソコンや端末に呼び出して操作する仕組みのことです。手元にある端末には画面の情報だけが転送され、実際のOSの動作やデータの保存、プログラムの実行はすべてサーバー側で行われます。手元の端末にはデータが一切残らないため、セキュリティが高く、テレワーク(在宅勤務)やスマートフォンの活用といった多様な働き方を
クライアントサーバシステムとは クライアントサーバシステムとは、ネットワークを利用したシステムの形態の一つで、サービスを要求する側(クライアント)と、サービスを提供する側(サーバ)で、役割(処理)を明確に分担して運用する仕組みのことです。クライアント(パソコンやスマートフォンなど)は、画面を表示してユーザの入力を受け付け、サーバに対して処理を「リクエスト(要求)」します。サーバ(専用の高性能コンピュータなど)は、その要求を処理してデータベースなどを更新し、結果を「レスポンス(応答)」として返します。 具体例 身近な
Webシステムとは Webシステムとは、インターネットやブラウザ(Google ChromeやSafariなど)を利用して、利用者がインストール不要で使えるシステムのことです。一般的に、画面の表示を担当する「Webブラウザ(クライアント)」、利用者の要求に応じて業務処理を行う「Webサーバ(およびアプリケーションサーバ)」、データの保存や管理を担当する「データベース(DB)サーバ」の3つの階層に役割を分けた「3層アーキテクチャ」と呼ばれる構成で設計されることが多く、保守や拡張がしやすいのが特徴です。 具体例 身近な
稼働率とは 稼働率(かどうりつ)とは、システムが定められた運用時間のうち、実際に「正常に動作していた時間」の割合を示す指標のことです。システムの信頼性を評価するために非常に重要な数値で、通常は0から1の間(または0%から100%)で表されます。稼働率の計算には、システムが正常に動作していた平均時間である「MTBF(平均故障間隔)」と、故障してから復旧するまでにかかった平均時間である「MTTR(平均修復時間)」を用います。稼働率が高いシステムほど、止まることなく安定してサービスを提供できていることを意味します。 具体
MTBFとは MTBF(Mean Time Between Failures:平均故障間隔)とは、システムが「稼働し始めてから、次に故障するまでの平均時間」のことです。つまり、システムが正常に動き続けている時間の平均値であり、この値が大きければ大きいほど「めったに壊れない信頼性の高いシステム」であることを示します。主にハードディスクなどの部品や、サーバ機器の寿命、ハードウェア製品の品質を表す指標として使われます。稼働率の計算式(MTBF / (MTBF + MTTR))の分母および分子に用いられます。 具体例 ある
MTTRとは MTTR(Mean Time To Repair:平均修復時間)とは、システムが「故障してから、修理が完了して再び正常に動き出すまでに要した平均時間」のことです。つまり、復旧作業にかかる平均時間であり、この値が小さければ小さいほど「故障したときの復旧が素早く、メンテナンス性が優れているシステム」であることを示します。バックアップからのリストア(復旧)手順が自動化されているかや、サポート体制が整っているかによってこの値は小さくなります。稼働率の向上には、MTBFを大きくするだけでなく、このMTTRを小さ
フェールセーフとはフェールセーフとは、システムや機器が故障した際や、利用者が誤った操作をした際に、常に「安全(セーフ)」な状態に移行するように制御する設計思想です。どんなシステムもいつかは必ず故障するという前提に立ち、故障したとしても大事故や深刻なトラブルに発展させないことを最優先に考えます。壊れることを防ぐのではなく、壊れた後の安全を確保することが特徴です。具体例鉄道の踏切:停電などでシステムへの電力供給がストップした場合、遮断機を持ち上げる力が失われ、自重(重力)によって自動的に遮断機が下におります。これにより
フェールソフトとはフェールソフトとは、システムの一部に障害が発生した際に、システム全体を完全に停止させるのではなく、機能や性能を一部縮小(制限)してでも、重要な機能を維持しながら運転を継続する設計思想です。これによる一時的な機能制限や処理能力の低下を伴う運転継続のことを「フォールバック(縮退運転)」と呼びます。サービスを完全にゼロにしないためのアプローチです。具体例マルチプロセッサのサーバー:複数のCPU(頭脳)で動いているサーバーにおいて、そのうちの1つのCPUが故障した場合、故障したCPUを切り離し、残った正常
フールプルーフとはフールプルーフとは、利用者が操作方法を誤ったり、想定外の使い方をしたりした場合でも、システムや機器が誤作動を起こさないように、あるいは危険な状態にならないようにあらかじめ対策を施しておく設計思想です。「人間は必ず間違いを犯すもの(ミスをするもの)」という前提に基づき、誰が使っても安全かつ正しく動作するようにインターフェースや構造を工夫します。具体例電子レンジのドア:加熱用のマイクロ波が外に漏れるのを防ぐため、ドアが完全に閉まっていない状態ではスタートボタンを押しても動作しない構造になっています。洗
フォールトトレラントとはフォールトトレラントとは、システムを構成する部品の一部が故障したり、予期せぬエラー(フォールト)が発生したりしても、システム全体としては停止することなく、正常に稼働を維持し続けることができる設計思想やその性質を指します。「耐障害性」とも呼ばれます。これを実現するために、CPU、メモリ、ハードディスク、電源、ネットワーク回線などの重要部品をあらかじめ二重化(複数用意)しておくのが一般的です。具体例ハードディスクのRAID(レイド):データを複数のハードディスクに同時に書き込んでおきます(ミラー
スループットとはスループットとは、システムやネットワークが一定時間内に処理できる「実質的な仕事量」や「データ転送量」を表す指標です。値が大きいほど、処理能力が高く効率が良いシステムであると判断されます。ネットワークの分野では、通信回線の最大速度(帯域幅)ではなく、オーバーヘッド(制御データ)や混雑によるロスを除いた、実際に転送できたデータのやり取りの速さを指します。具体例ネットワーク通信:光回線の規格上の最大速度が「1Gbps」であっても、実際にファイルをダウンロードする際に計測される「実質的な転送速度(例えば 5
レスポンスタイムとはレスポンスタイム(応答時間)とは、ユーザーがシステムに対して何らかの操作(ボタンのクリックやコマンドの入力など)を行ってから、システムがその要求を受け付けて最初の反応(応答)を返し始めるまでに要する時間のことです。ユーザーが「待たされている」と感じる時間に直結するため、システムの快適性を測る上で非常に重要な指標となります。なお、全体の処理結果がすべて画面に出力し終わるまでの時間は「ターンアラウンドタイム」と呼び、これとは区別されます。具体例Webサイトの閲覧:スマートフォンでリンクをタップしてか
ベンチマークとはベンチマークとは、システムやハードウェア(CPUやグラフィックボードなど)、ソフトウェアの処理性能を測定するための「基準」や「比較対象」、あるいは性能測定を行うためのテストそのものを指します。特定の計算や処理を実行させ、その実行速度や負荷を数値化(スコア化)することで、異なるメーカーやモデルの製品同士の性能差を客観的に比較することができます。具体例3Dグラフィックスの測定:ゲーム用のパソコンを購入する際、特定のベンチマークソフト(例:3DMarkなど)を実行して複雑な3D映像を動かします。その際の1
スケールアウトとはスケールアウトとは、アクセス数や処理データ量の増加に伴い、システムの処理能力を増強するための手法の一つです。具体的には、サーバーの「台数」を増やす(並列に並べる)ことによって、システム全体の処理能力を高めます。これに対して、サーバー単体の性能(CPUやメモリ)をアップグレードして強化する手法を「スケールアップ」と呼びます。スケールアウトは、負荷を分散させやすく、システムの柔軟性を保ちやすいという特徴があります。具体例Webサーバーの増設:インターネット通販サイトで、セール期間中にアクセスが急増した
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