AIDMA(アイドマ)は、1920年代にアメリカの販売・広告の実務家であるサミュエル・ローランド・ホールによって提唱された、非常に歴史のある消費者行動モデルです。消費者が商品の存在を知ってから実際に購入するまでの心理的なプロセスを段階的に説明したものであり、長年にわたり広告やマーケティングの基本理論として使われてきました。AIDMAのモデルに従うと、企業が行うべきアプローチは顧客が現在どの段階にいるかによって大きく異なります。例えば、商品が発売されたばかりでまだ誰も知らない「Attention(注目)」の段階では、まずはテレビCMや目立つポスターで名前を覚えてもらうことが最優先です。しかし、すでに商品を知っているが欲しいとは思っていない「Interest(興味)」や「Desire(欲求)」の段階にいる顧客に対しては、単に商品名を連呼するだけの広告を見せても意味がありません。「この商品はあなたの悩みをこんな風に解決します」という具体的なメリット(ベネフィット)を伝え、欲しいという感情を刺激する必要があります。さらに「Memory(記憶)」から「Action(行動)」への壁を越えさせるためには、「今なら期間限定で割引」というキャンペーンを打ったり、店頭の目立つ場所に商品を陳列(POP広告)したりして、購買の背中を直接押す工夫が求められます。近年では、インターネットやスマートフォンの普及により、消費者の購買行動が大きく変化しました。そのため、検索(Search)や共有(Share)といったインターネット特有の行動を取り入れた「AISAS(アイサス)」や、SNSでの共感(Sympathy)を重視した「SIPS(シップス)」といった新しいモデルも登場しています。それでも、消費者の心理変化の基本となるAIDMAの考え方は、現在でもマーケティングの基礎として非常に重要視されています。