共通鍵暗号方式(対称鍵暗号方式)は、暗号化と復号の計算アルゴリズムが比較的シンプルなため、ハードウェアやソフトウェアによる処理が非常に高速に行われるというメリットがあります。代表的な暗号化アルゴリズムには、かつて米国標準であった「DES(Data Encryption Standard)」や、現在世界中でデファクトスタンダードとして使われている「AES(Advanced Encryption Standard)」があります。AESは128、192、256ビットの頑強な鍵長をサポートしており、現代のコンピュータでも現実的な時間内では解読が不可能なほど安全性が高いです。しかし、この方式には以下の2つの大きな弱点があります。 1. 鍵配送問題:暗号化したデータを送る前に、相手にどうやって安全に共通鍵を届けるかという問題。鍵をインターネットでそのまま送ってしまっては、それを盗聴されるリスクがあります。 2. 鍵の管理コスト:通信相手ごとに異なる鍵を用意する必要があるため、相手の数を N とすると、必要な鍵の数は N(N-1)/2 という式で爆発的に増加します(例:100人いれば4,950個の鍵が必要になります)。