フォールトトレラント(Fault Tolerant)は、システムを構成するハードウェアやソフトウェアの一部に障害が発生しても、システム全体としてはまったく停止することなく、通常通りの機能と性能を提供し続けることを目指す究極の設計思想です。銀行のオンライン勘定系システム、航空機のフライト管制システム、証券取引所の売買システム、あるいは医療機関の生命維持装置など、ほんの数秒のシステム停止が莫大な経済的損失や人命に関わるようなミッションクリティカルな環境において必須となる考え方です。
これを実現するための代表的かつ基本的なアプローチが「冗長化(Redundancy)」です。ハードウェアレベルでは、CPU、メモリ、電源ユニット、ネットワーク機器、ストレージなどをすべて二重、三重に用意(多重化)しておき、稼働中のメイン装置が故障しても、待機しているサブ装置へ瞬時に切り替わる(フェイルオーバー)仕組みを構築します。また、ソフトウェアレベルでも、複数のサーバーで全く同じ処理を同時に行い、結果を照合することでエラーを直ちに検出・訂正する仕組み(フォールトマスキング)などが用いられます。