BCMが提唱する「訓練(演習)」には、その目的や組織の習熟度に応じていくつかの形態があります。最も手軽な「机上演習(テーブルトップ演習)」では、対応メンバーが会議室に集まり、提示された仮想シナリオ(例:大規模地震でデータセンターが被災したなど)に沿って、BCPを見ながら自分たちがどう行動すべきかを口頭で確認し合います。これを発展させた「機能演習」や「総合演習」では、実際に予備のサーバーを稼働させてネットワークを切り替えるなど、本番さながらの技術的な操作を伴うシミュレーションを行います。訓練を通じて、「手順書に書かれている担当者が退職していた」「連絡先リストが古くてつながらない」「予備電源の燃料が足りない」といった、机の上では気づかなかった無数の課題(脆弱性)が浮き彫りになります。BCMの本質は、これらの不備を隠さずに評価(Check)し、速やかに計画を改訂(Act)することにあります。このガバナンスと組織文化の形成こそが、災害大国である日本における企業の存続を決定づけます。
試験においては、「BCP」と「BCM」の違いが焦点になります。「BCPは『計画書(Plan)』そのものを指し、BCMは計画の策定・運用・評価・改善という一連の『マネジメント(管理・教育・訓練サイクル)』を指す」という構造的な違いを意識してください。問題文で「計画の策定だけでなく、教育、訓練、評価、改善を継続的に行う活動」という文脈があれば、正解はBCMです。また、マネジメントシステムの一環として、PDCAサイクルの各段階(Plan-Do-Check-Act)にどの業務(例:訓練の実施はDo、監査はCheck、BCPの改訂はActなど)が該当するかを分類させる問題も出題されます。
関連用語としては、BCMのサイクルを通じて作成・改訂される具体的な計画書である「BCP(事業継続計画)」、訓練の計画立案においてビジネス上の優先順位を決める「BIA(ビジネス影響分析)」、また組織全体の管理体制を規定する国際規格である「ISO 22301(事業継続マネジメントシステム規格)」があります。