AWS Trusted Advisorとは

AWS Trusted Advisor(トラステッド・アドバイザー)とは、ユーザーのAWS環境全体を自動的にスキャンし、AWSが推奨する「ベストプラクティス(最適な運用方法)」に沿って設定されているかを診断・アドバイスしてくれる無料〜有償のオンラインコンサルティングツールです。AWSの専門家が長年培ってきた知見に基づき、「コスト最適化」「パフォーマンス」「セキュリティ」「フォールトトレランス(耐障害性)」「サービスの制限(クォータ)」という5つの重要な柱(カテゴリ)に沿ってシステムをチェックします。無駄なコストを削減できる箇所や、セキュリティの抜け穴、パフォーマンス低下の原因となり得る設定を発見し、信号機のような色(緑:OK、黄:要調査、赤:危険)で分かりやすく警告・改善策を提示してくれるため、安全で効率的なクラウド運用に欠かせないサービスです。
具体例
AWS Trusted Advisorは、車を安全かつ効率的に走らせるための「車の定期点検(車検・ディーラー点検)」や、専属の「ファイナンシャルプランナー兼セキュリティコンサルタント」のようなものです。
例えば、あなたがAWSでシステムを運用しているとします。Trusted Advisorは環境を診断し、以下のような具体的なアドバイスを教えてくれます。
・コスト最適化:「先月作ったまま全く使われていない(アクセスがない)EC2サーバーがありますよ。これを停止すれば月に○万円節約できます(黄信号)。」
・セキュリティ:「データベースのポートが世界中(0.0.0.0/0)に公開されたままになっています。ハッキングされる危険性が高いのですぐに閉じてください(赤信号)!また、ルートユーザーのMFA(多要素認証)が設定されていません。」
・耐障害性:「サーバーのデータバックアップ(スナップショット)がしばらく取得されていません。故障時にデータが消えるリスクがあります。」
このように、人間がうっかり見落としがちな設定ミスや無駄を、機械的にかつ網羅的に指摘し、具体的な修正手順まで案内してくれます。
もう少し詳しく
Trusted Advisorのチェック項目(カテゴリ)は以下の5つに分類されます。
1. コスト最適化:使用率の低いEC2インスタンスやRDS、紐付けられていないElastic IPアドレスなどを特定し、不要なリソースの削除・縮小によるコスト削減を提案します。
2. パフォーマンス:使用率が高く過負荷になっているEC2インスタンスの特定や、CloudFront(CDN)の利用推奨など、システムの応答速度や効率を改善する提案を行います。
3. セキュリティ:セキュリティグループの不要なポート開放、S3バケットのパブリックアクセス設定、IAMパスワードポリシーやMFAの未設定など、脆弱性に繋がる致命的な設定ミスを警告します。
4. フォールトトレランス(耐障害性):単一障害点(SPOF)をなくすため、RDSのマルチAZ化(複数データセンター配置)や、定期的なバックアップの取得状況をチェックし、障害に強いシステム構成を促します。
5. サービスの制限(サービスクォータ):AWSの各サービスにはアカウントごとに利用上限(例:EC2はデフォルトで1リージョン数十台まで等)が設定されています。その制限値の80%などを超えそうになると警告を発し、システム拡張時にエラーで止まるのを未然に防ぎます。
注意点として、AWSアカウントを作成したばかりの基本サポートプラン(無料)のユーザーは、「セキュリティ」の主要なチェックと「サービスの制限」といった一部のコア機能しか利用できません。すべてのカテゴリの完全なチェック項目(数百項目)を利用し、さらにAWS Support APIを通じてプログラムから診断結果を取得・自動化するためには、「ビジネス」または「エンタープライズ」の有償サポートプランに加入している必要があります。
試験でのポイント
AWS認定クラウドプラクティショナー(CLF-C02)試験において、Trusted Advisorは非常に重要です。以下のポイントを確実におさえましょう。
まず、「ベストプラクティスに照らし合わせて環境を診断・アドバイスするサービス」という説明文が出たら、正解は「Trusted Advisor」です。
次に、Trusted Advisorがチェックする「5つのカテゴリ(コスト最適化、パフォーマンス、セキュリティ、フォールトトレランス、サービスの制限)」を覚えてください。試験では「コスト削減の推奨事項を提供してくれるサービスはどれか?」といった形で問われます。
また、サポートプランによる機能の違いも重要です。「すべてのTrusted Advisorのチェック機能を利用するためにはどのサポートプランが必要か?」という問題には、「ビジネスサポート(またはエンタープライズサポート)」と回答できるようにしておきましょう。
関連する用語
関連用語として、システムがAWSのベストプラクティスに従っているかを概念的に評価するフレームワーク「AWS Well-Architected Framework」、Trusted Advisorの全機能を利用するために必要な「AWSサポートプラン」、設定の不備を見つける対象である「IAM」や「セキュリティグループ」があります。