オンプレミスとは
オンプレミス(On-Premises)とは、企業が自社の施設内(社屋や自社が契約したデータセンターなど)にサーバー、ネットワーク機器、ストレージなどのITインフラストラクチャを物理的に設置し、自社のスタッフまたは委託業者が運用・管理を行う、従来型のITシステムの構築・運用形態のことです。 「プレミス(Premises)」には「建物」や「敷地」といった意味があり、自社の敷地内でシステムを稼働させることからこのように呼ばれます。 オンプレミス環境では、ハードウェアの選定、調達、キッティング(組み立てや初期設定)、ネットワーク配線、OSのインストール、ソフトウェアのセットアップに至るまでのすべてを自社で責任を持って行います。 また、稼働後もハードウェアの故障対応、部品の交換、定期的なメンテナンス、セキュリティパッチの適用など、インフラの維持にかかるすべての作業とコストを自社で負担する必要があります。
具体例
オンプレミスは、一軒家を自前で土地から購入して建てる「持ち家」のようなものです。
- 持ち家の特徴(オンプレミスの特徴):自分の好きなように間取りを設計し、最新のセキュリティシステムを導入するなど、要件に合わせた完全なカスタマイズが可能です。しかし、家を建てるためには初期費用(土地代や建築費)が非常に高くかかります。また、住み始めた後も、屋根の修理や外壁の塗装など、維持管理はすべて自分で行う必要があります。
- 家族が増えた場合(拡張性の課題):子どもが増えて部屋が足りなくなった場合、簡単に部屋を増やすことはできず、大規模なリフォームや増築工事(サーバーの追加購入やネットワークの再設計)が必要になり、時間と多額の追加費用がかかります。
もう少し詳しく
オンプレミス最大の利点は、自社のセキュリティポリシーやコンプライアンス要件に合わせた極めて厳格な管理が可能な点です。システムがインターネットから物理的に切り離された閉域網でのみ稼働するように設計することも容易であり、機密性の高い個人情報や国家機密、独自の知的財産を扱うシステムにおいて、現在でもあえてオンプレミスが選択されることがあります。 また、レガシーシステム(古くから稼働している独自の基幹システムなど)の場合、クラウド環境への移行(マイグレーション)に膨大なコストや技術的なハードルが伴うため、オンプレミス環境で運用を継続せざるを得ないケースも多々あります。
しかし、オンプレミスには財務・運用面で大きな課題があります。システムを構築する際、将来の最大アクセス数(ピーク時のトラフィック)を予測し、それに耐えうるスペックのハードウェアを事前に一括購入しなければなりません。これを「CAPEX(資本的支出)」と呼びます。 もし予測が外れてアクセスが少なければ、過剰な投資となりリソースが無駄になります(オーバープロビジョニング)。逆にアクセスが急増した場合、サーバーの追加調達には数週間から数ヶ月のリードタイムがかかり、機会損失を招きます(アンダープロビジョニング)。 これらの課題を解決するために、多くの企業がオンプレミスからクラウドコンピューティングへの移行(クラウドリフト・クラウドシフト)を進めています。
試験でのポイント
CLF-C02試験では、オンプレミスは常に「クラウドコンピューティングの対比」として出題されます。オンプレミスの特徴をクラウドのメリット(6つの利点)の裏返しとして理解しておくことが重要です。 特に財務面での違いがよく問われます。オンプレミスでは多額の「CAPEX(資本的支出・初期費用)」が必要ですが、クラウドでは使用した分だけ支払う「OPEX(オペレーティング費用・変動費)」に移行できます。 また、「キャパシティの予測が必要である(オンプレミス)」「リソースの調達に時間がかかり俊敏性が低い(オンプレミス)」「インフラの物理的な保守管理が必要(オンプレミス)」といった点が、クラウドの「キャパシティ予測不要」「俊敏性」「運用保守からの解放」と対比されて選択肢に並びます。 企業が一部のシステムをオンプレミスに残し、一部をクラウドで運用する構成を「ハイブリッドクラウド」と呼ぶことも押さえておきましょう。
関連する用語
自社でITリソースを所有せずにインターネット経由で利用する「クラウドコンピューティング」との違いを理解することが最も重要です。また、これらを組み合わせた「ハイブリッドクラウド」や、財務用語である「CAPEX」および「OPEX」も試験で頻出の関連用語となります。