SaaSとは

SaaS(Software as a Service:サース)とは、クラウドプロバイダーが稼働・管理している「完成されたアプリケーション(ソフトウェア)」を、インターネット経由でユーザーに提供するクラウドサービスの形態です。 IaaS(インフラ)やPaaS(プラットフォーム)とは異なり、ユーザーはサーバーの構築やOSの管理はもちろん、アプリケーション自体の開発やメンテナンスを行う必要も一切ありません。 Webブラウザや専用のクライアントアプリを通じてサービスにアクセスするだけで、すぐにソフトウェアの機能を利用することができます。 一般的にサブスクリプション(月額・年額の定額制)または従量課金制で提供され、電子メール、カレンダー、顧客管理(CRM)、人事管理など、ビジネスからプライベートまで幅広い領域で利用されています。
具体例
SaaSは「レストランでの食事」や「完成したマンションの一室を借りる」ことに例えることができます。
- レストランでの食事:自炊(IaaSやPaaS)をする場合、食材を買ったり調理器具を用意したり、食べた後に皿洗いをしたりする手間がかかります。しかしレストラン(SaaS)に行けば、席に座ってメニューから注文するだけで、プロが作った完成された料理(ソフトウェア)を楽しむことができます。食材の仕入れやキッチンの掃除(インフラ保守やバグ修正)はすべてレストラン側が行います。
- 身近なSaaSの例:Gmail、Google Workspace、Microsoft 365(Office 365)、Salesforce、Zoom、SlackなどはすべてSaaSです。ユーザーはアプリをインストールしたりWebサイトにアクセスするだけで、システムの裏側にあるサーバーの存在を一切気にすることなくサービスを利用できます。
もう少し詳しく
SaaSの最大のメリットは、導入のハードルが極めて低く、即座に利用を開始できる点にあります。ソフトウェアはクラウドプロバイダー側のサーバーで一元的に稼働しているため、ユーザー側の端末にソフトウェアをインストールしてアップデートを適用し続けるといった運用管理の手間が省けます(エンドユーザー・コンピューティングの簡素化)。 バグの修正、新機能の追加、セキュリティパッチの適用などのバージョンアップ作業はすべてプロバイダー側で自動的に行われるため、ユーザーは常に最新で安全な状態のソフトウェアを利用できます。
責任共有モデルの観点から見ると、SaaSはAWS(プロバイダー)の責任範囲が最も広く、ユーザーの責任範囲が最も狭いモデルです。プロバイダーは物理インフラ、OS、ミドルウェアだけでなく、アプリケーション自体の動作やセキュリティまで責任を持ちます。 ユーザーが管理すべきなのは、そのSaaSにアクセスするための「アカウント(認証情報)」と、SaaS内に入力・保存する「データ」のみです。ただし、カスタマイズの自由度は最も低く、プロバイダーが提供する機能の範囲内でしか利用できないというトレードオフがあります。
試験でのポイント
CLF-C02試験では、SaaSは「エンドユーザー(一般の社員や顧客)に完成された製品として提供されるサービスモデル」として問われます。 他のサービスモデル(IaaS、PaaS)との決定的な違いは、「ユーザーがアプリケーションのソースコードを管理・開発する必要がない」という点です。 「インフラストラクチャやアプリケーションの管理を一切行わず、ソフトウェアを利用するだけのサービス形態はどれか」といった問題でSaaSを選択できるようにしてください。 AWSが提供するSaaSの例としては、Amazon WorkMailやAmazon Chime、AWSマネージドサービスのダッシュボード機能などがありますが、一般的なSaaSの概念そのものを問われることが多いです。
関連する用語
クラウドのサービス提供モデルである「IaaS」および「PaaS」との違い(特に責任共有モデルにおけるユーザーの責任範囲の違い)を完璧に理解しておくことが必須です。