DRの解説(情報セキュリティマネジメントシラバス用語)

目次

DRとは

DR(Disaster Recovery:ディザスタリカバリ、災害復旧)とは、地震や津波、テロなどの大規模な災害によって、システムやデータセンターが壊滅的な被害を受けた際に、システムを速やかに復旧・再開するためのシステム上の対策や計画のことです。

主にITシステムやデータの復旧に焦点を当てており、ビジネス全体の継続を目指す「BCP」の一部として位置づけられます。遠く離れた別の地域にバックアップデータをリアルタイムで同期させておいたり、代替となる予備のサーバー環境をあらかじめ稼働させておいたりすることで、メインのデータセンターが倒壊してもサービスを止めずに継続させることができます。DRの設計では、データをどの時点まで巻き戻して復旧できるかという目標(目標復旧時点:RPO)と、どれくらいの時間で復旧できるか(目標復旧時間:RTO)をビジネスの要件に合わせて設計します。

具体例

[東京データセンター(メイン)] ===(リアルタイム同期)===> [大阪データセンター(予備)]
※東京が地震で停電した場合、自動的または数分以内に大阪のシステムへ切り替えて処理を続行する

もう少し詳しく

DRにおける復旧・稼働体制の設計(バックアップサイトの運用)には、コストと復旧速度のトレードオフに基づいて大きく3つの方式があります。 1. 「ホットサイト(Hot Site)」: 稼働中(メイン)のシステムと全く同じ予備システムを遠隔地に常に稼働させておき、データをリアルタイムで同期する方式です。メインシステムがダウンした際、数秒から数分で自動的に処理を引き継げる(フェイルオーバー)ため、RTOやRPOをほぼゼロにできますが、維持コストは非常に高額になります。 2. 「ウォームサイト(Warm Site)」: 予備のハードウェアやネットワーク環境は確保してあるものの、通常時はシステムの一部のみを稼働させ、データの同期も定期的(日次など)に行う方式です。災害発生後に残りのデータ移行や設定を行うため、復旧には数時間から数日かかりますが、コストを抑えられます。 3. 「コールドサイト(Cold Site)」: 遠隔地に場所や電源などのインフラだけを確保しておき、災害が発生した後に予備の機器を搬入し、OSやアプリケーションのインストール、データのリストアを一から行う方式です。復旧には数日〜数週間を要しますが、平時の維持コストは最も安価です。 企業の予算や許容できる業務停止時間に応じて、これらの方式を組み合わせます。

試験でのポイント

試験問題では、DRが「BCP(事業継続計画)」のIT分野における技術的側面に焦点を当てたものである、という位置づけがよく問われます。また、DRで構築されるバックアップサイトの3つの種類(ホットサイト、ウォームサイト、コールドサイト)の定義や、それぞれの復旧スピードとコストの関係を比較・判別させる問題が定番です。「平時から同一構成のサーバーを稼働させデータを同期しておくサイト」を問われれば「ホットサイト」と答え、「場所と通信回線のみを確保し被災後に機器を持ち込むサイト」であれば「コールドサイト」となります。また、目標復旧時点(RPO)と目標復旧時間(RTO)の具体的な数値要件に基づき、最適なサイト構成を選択させる応用問題にも備えておきましょう。

関連する用語

関連用語としては、企業全体の事業継続を目指す包括的な計画「BCP(事業継続計画)」、データの復旧目標ポイントである「RPO」、復旧にかける時間の目標である「RTO」、そしてメインシステムから予備システムへ自動で切り替える技術「フェイルオーバー」などがあります。

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