一方の「非可逆圧縮(Lossy Compression)」は、人間が認識しにくい領域のデータを恒久的に間引く手法です。人間の耳は特定の高周波数帯の音や、大きな音の直後にある小さな音を聞き取りにくいという特性(聴覚心理学的なアプローチ)を持っています。また、人間の目は色の急激な変化(高周波成分)には比較的鈍感です。これらの特性を利用し、重要度の低いデータを数学的な処理(離散コサイン変換など)によって切り捨てることで、劇的な圧縮率を実現します。主に画像(JPEG)、動画(MPEG)、音声(MP3やAAC)などのマルチメディアデータに活用されます。
IT試験においては、「可逆圧縮」と「非可逆圧縮」の最大の特徴と使い分けを正確に分類できるかどうかが得点に直結します。
以下の整理は試験対策として不可欠です。
・可逆圧縮:圧縮後、解凍(復元)したときに元のデータと「完全に一致する」。ZIPやLHA、画像形式のPNGやGIFが該当する。プログラムやテキストの圧縮には必ずこちらを使用する(非可逆で圧縮するとプログラムが起動しなくなったり、文字が欠落したりするため)。
・非可逆圧縮:圧縮率が非常に高い反面、一度圧縮すると「元の完全な状態には戻せない」。JPEGやMPEG、MP3などが該当する。写真や音楽、動画など、多少の劣化が許容されるメディアデータに使用する。
問題で「一度圧縮して元に戻したデータが、元のデータとビット単位で一致する方式はどれか」と問われたら「可逆圧縮」を選択します。また、それぞれの方式に対応する具体的なファイル形式(拡張子)の対応関係を紐づけて覚えておくことも重要です。
圧縮技術に関連する用語として、可逆圧縮を採用した画像形式の「PNG」や「GIF」、非可逆圧縮を採用した静止画形式の「JPEG」、動画圧縮規格の「MPEG」があります。また、圧縮したデータを元に戻す処理である「解凍(伸張・復元)」や、複数のファイルを1つにまとめて圧縮する形式である「ZIP」なども、日常的かつ試験で頻出のキーワードです。