インシデント管理は、ITサービスにおいて計画外の中断(障害やシステムの停止)や品質の低下が発生した際に、サービスを最も早く、かつ通常の状態に復旧させ、ビジネスへの悪影響を最小限に抑えるためのプロセスです。このプロセスの最大の特徴は、「原因究明」よりも「早期の暫定復旧」を圧倒的に優先する点にあります。具体的な手段として、サーバーやアプリケーションの再起動、バックアップシステムへの切り替え、代替PCの提供、既知の回避策(ワークアラウンド)の案内などが行われます。発生したすべてのインシデントは発生日時、症状、対応内容が詳細に記録され、ステータス(受付、対応中、保留、解決、完了)が厳密に管理されます。これにより、対応の漏れや引き継ぎミスを防ぎ、顧客満足度の維持に努めます。
試験における最重要ポイントは、インシデント管理の「第一目的」が何であるかという点です。「発生した不具合に対して根本原因の究明を後回しにし、サービスを迅速に回復させてユーザーの業務停止時間を最小限に抑えること」という趣旨の正答を確実に選べるようにしてください。また、根本的な原因追究を行ってバグを修正する「問題管理」プロセスとの対比がよく出題されます。「一時的に別プリンタから出力させる」のがインシデント管理であり、「プリンタの印刷エラーのバグ自体を修正する」のが問題管理という対応関係を整理しておきましょう。
ITILにおける運用の主軸プロセスであり、根本解決を担う問題管理や、システムの修正承認を得る変更管理、およびユーザーからの連絡を一手に対応するサービスデスクと連動して動きます。