クラウドコンピューティングは、現代のITインフラを語る上で欠かせない基盤技術です。「クラウド(Cloud=雲)」という言葉は、インターネットの向こう側にある複雑なサーバーやネットワークの構成を、利用者が意識することなく(まるで雲の中にあるかのように)サービスを引き出して使えるというイメージから名付けられました。従来、企業がシステムを構築する際は「オンプレミス」と呼ばれる方法が主流でした。これは自社で高額なサーバー機を購入し、自社の建物内に設置して、自前のエンジニアが保守管理を行うという「自前主義・所有する」スタイルです。これに対してクラウドコンピューティングは「利用する・借りる」スタイルです。Amazon、Microsoft、Googleといった巨大IT企業が世界中に構築した超大規模なデータセンターの処理能力を、インターネットを通じて必要な分だけレンタルします。クラウドの最大のメリットは「俊敏性(アジリティ)」と「拡張性(スケーラビリティ)」です。新しいサービスを立ち上げたい時、オンプレミスでは機器の調達から設定まで数ヶ月かかりますが、クラウドなら数分でサーバーを用意できます。また、アクセスが急増した時には即座にサーバーの台数を増やし、落ち着いたら減らすといった柔軟な対応が可能です。さらに、使った分だけ支払う従量課金制のため、無駄なコストを抑えることができます。一方でデメリットとしては、セキュリティのポリシーやネットワークの品質をクラウド事業者に依存してしまうため、独自の厳格なセキュリティ要件がある金融機関や政府機関などでは、クラウドの導入に慎重な議論が必要になる場合があります。