組込みシステムとは
組込みシステム(エンベデッドシステム)とは、特定の機能や役割を実現するために、専用のコンピュータ(CPUやメモリ、プログラムなど)を機器の内部にあらかじめ組み込んだシステムのことです。パソコンのように様々な用途のアプリを後からインストールして使う汎用的なコンピュータとは異なり、その製品専用の動作(温度調節、モーター制御、画面表示など)を正確かつ安定して行うために設計されています。
具体例
- 炊飯器:「お米を美味しく炊く」という目的のために、内部にセンサーと小さなマイコン(コンピュータ)が組み込まれており、水温や加熱時間をプログラムに沿って自動でコントロールします。
- 自動車の自動ブレーキ:車体に搭載されたカメラやレーダーの情報を瞬時に分析し、衝突を避けるためにブレーキを制御する専用のコンピュータシステムが組み込まれています。
- その他の家電:エアコン、洗濯機、テレビ、スマートウォッチ、信号機などもすべて組込みシステムです。
もう少し詳しく
組込みシステムは、私たちの日常生活から産業機械、医療機器、航空宇宙分野に至るまで、あらゆる場所で活躍しています。従来の家電製品は、単純なゼンマイや物理的なスイッチ、アナログな電気回路だけで動いていました。しかし、より複雑で高度な制御(例えば、エアコンが部屋にいる人の体温を検知して風向きを変えるなど)が求められるようになり、小型のマイクロコンピュータ(マイコン)とソフトウェアを機器の中に組み込む手法が主流となりました。
組込みシステムには、汎用パソコンとは異なる厳しい制約や要求があります。まず第一に「リアルタイム性」が求められることが多くあります。例えば自動車のエアバッグ制御システムは、衝突を検知してから何ミリ秒以内に確実に作動しなければならず、パソコンのように「処理が重くて少しフリーズした」という事態は人命に関わるため絶対に許されません(このような厳密な時間制御を行うOSをリアルタイムOSと呼びます)。
また、ハードウェアの制約も厳格です。機器のサイズに収めるための小型化、バッテリーを長持ちさせるための省電力化、そして大量生産するための低コスト化が徹底的に追求されます。そのため、組込みシステムの開発者は、限られたメモリ容量や処理能力の低いCPUでも、最大のパフォーマンスを発揮できるように、極めて効率的で無駄のないプログラム(ファームウェアなど)を記述する高度な技術が求められます。近年では、これらの組込み機器がインターネットに接続されてデータをやり取りする「IoT(モノのインターネット)」の普及により、組込みシステムにおけるセキュリティ対策の重要性も急激に高まっています。
試験でのポイント
ITパスポート試験では、組込みシステムの定義や適用例、および近年話題のIoTとの関連性がよく問われます。
試験対策として以下の点をおさえておきましょう。
- 専用と汎用の違い:PCやスマートフォンのように利用者がアプリを追加して多目的に使う「汎用システム」ではなく、あらかじめ決められた特定の機能(炊飯、洗濯、エンジン制御など)を提供するための「専用システム」であるという定義が最も重要です。
- 身近な具体例:家電製品(炊飯器、エアコンなど)、自動車のエンジン制御やカーナビ、デジタルカメラ、自動販売機、産業用ロボットなど、目に見えないところでコンピュータが制御している機器はすべて該当します。
- リアルタイムOS(RTOS):組込みシステムの中には、定められた制限時間内に必ず処理を完了させる「リアルタイム性(即時性)」が強く求められるものがあり、その制御には専用のリアルタイムOS(TRONなど)が使われることが出題されることもあります。
- IoTとの結びつき:単独で動作していた組込みシステムがネットワークに繋がり、データをクラウドに送信したり遠隔操作されたりする仕組みが「IoT(Internet of Things)」です。セットで出題されやすい傾向があります。
関連する用語
関連する用語として、組込みシステムの中で実際に動作する制御プログラムであるファームウェア、組込み機器同士をネットワークでつなぐIoT、システムの一部を物理的な回路で実現するFPGAなどが挙げられます。