クリティカルチェーン法とは
クリティカルチェーン法(CCPM:Critical Chain Project Management)は、プロジェクト全体の期間をできる限り短縮し、予定通りの納期に完了させるためのスケジュール管理手法です。従来の管理方法では、各作業の担当者が遅れを恐れて個別のスケジュールにそれぞれ「安全余裕(バッファ)」を隠し持っており、結果としてバッファが使い果たされて遅延が発生しがちでした。クリティカルチェーン法では、個別タスクのバッファをすべて削って最短の期間でスケジュールを組み、削り取ったバッファを「プロジェクト全体の最後尾(プロジェクトバッファ)」に一括管理して、全員で共有・消費します。
具体例
デザイン、開発、テストの3つのタスクがあり、それぞれ安全のために「予定4日+余裕3日(合計7日)」としていたとします。クリティカルチェーン法では、全員の余裕をなくし「デザイン4日」「開発4日」「テスト4日」で計画し、削った計9日のうち半分(4.5日)をプロジェクト全体の最後に「全体バッファ」として追加します。個人の遅れは、この全体バッファを消費することで管理します。
【従来のバッファ管理 vs クリティカルチェーン法】\n・従来: [デザイン 7日(余3)] ➔ [開発 7日(余3)] ➔ [テスト 7日(余3)] ➔ 合計21日\n・CCPM: [デザイン 4日] ➔ [開発 4日] ➔ [テスト 4日] ── [プロジェクトバッファ 4.5日] ➔ 合計16.5日\n※バッファを一括化することで、プロジェクト期間を短縮しつつ遅延リスクに対処します。もう少し詳しく
クリティカルチェーン法(CCPM)は、ゴールドラット博士が提唱した「TOC(制約条件の理論:Theory of Constraints)」をプロジェクト管理に応用したものです。CCPMが解決しようとする人間の行動心理的な問題には、以下があります。・学生症候群(期限直前まで作業に着手しないこと)。・パーキンソンの法則(与えられた時間枠を使い切るまで作業を引き伸ばすこと)。・多重タスクによる効率低下(複数の作業を並行して行い、切り替えのロスが生じること)。CCPMでは、これらの悪影響を排除するため、個別作業の見積もりを「50%の確率で完了する期間(安全余裕を含まない最短期間)」に削り、代わりにプロジェクトの最後に「プロジェクトバッファ」を、また非クリティカルパスがクリティカルパスに合流する地点に「合流バッファ(フィーディングバッファ)」を配置します。さらに、タスクの順序関係だけでなく、人や設備などの「リソースの競合(重複)」も考慮してスケジュール上の最長経路(これをクリティカルチェーンと呼ぶ)を特定し、プロジェクトを管理します。
試験でのポイント
応用情報技術者試験では、タイムマネジメントやプロジェクト管理手法のトピックとしてCCPMの特徴が問われます。「各工程(アクティビティ)に隠されている安全余裕(バッファ)を排除し、プロジェクトの最後や合流点にバッファを一元管理して配置することで、プロジェクト全体の期間を短縮する手法」という定義を正しく選択できるようにしましょう。また、スケジュールを制約する要因として、タスクの順序関係(依存関係)だけでなく「要員の競合などの資源(リソース)制約」も考慮して経路を決定する、という点がクリティカルパス法(CPM)との決定的な違いになります。試験対策として、CPM(タスク間の純粋な依存関係のみで最長経路を特定)とCCPM(リソース競合を考慮して最長経路を特定)の相違点について明確に理解しておいてください。
関連する用語
タスクの順序関係のみで最長経路を特定するクリティカルパス法(CPM)、制約条件に注目して業務プロセスを改善するTOC(制約理論)、および期限ギリギリにならないと着手しない行動習性を指す学生症候群があります。これらとCCPMの繋がりを整理することで、プロジェクト管理におけるスケジュール短縮の論理が理解できます。