ロングテール戦略とは

ロングテール戦略は、年に数個しか売れないような「あまり売れない多数のニッチな商品(テール:恐竜の長いしっぽの部分)」を幅広く品揃えしておくことで、それらの売上をすべて合計した結果、全体の大部分の売上を占めるようになるというインターネット時代のビジネス戦略です。従来の店舗販売では、棚のスペースが限られているため「売れ筋商品(ヘッド:全体の20%程度)」だけを並べるのが鉄則でしたが、ネットショップでは在庫や展示スペースのコストがほぼゼロに近いため、この戦略が可能になりました。
具体例
巨大オンライン書店のAmazonが代表例です。実店舗の小さな本屋では、人気のベストセラー小説や有名雑誌だけを置きますが、Amazonではマイナーな専門書、個人の自費出版の本などもすべて掲載し購入可能な状態にしています。一冊一冊の売上はごくわずかでも、それらが何十万点も集まることで、ベストセラーの売上総額をしのぐ巨大なビジネスとなっています。
【ロングテールの分布イメージ(グラフ)】\n 売 |■\n 上 |■■\n |■■■■\n |■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■\n 規 └─────────────────────────\n 模 売れ筋商品(ヘッド) ➔ ニッチな商品群(ロングテール:長い尻尾)\n※インターネット店舗では、この右側に長く伸びる細いテール部分の合計売上が莫大になります。もう少し詳しく
ロングテール戦略は、ワイアード誌の編集長であったクリス・アンダーソンによって提唱されました。この戦略を可能にした要因(ドライバー)には、以下の3つがあります。1. 生産手段の民主化:デジタルカメラやPCソフトの普及により、個人でも高品質な製品(音楽、電子書籍など)を安価に生産できるようになったこと。2. 流通チャネルの民主化:インターネットの普及により、物理的な棚スペース(在庫保管場所)や物流コストが劇的に低下し、無数の商品を陳列・流通できるようになったこと。3. フィルタツールの出現:レコメンデーションエンジン(おすすめ機能)や検索エンジンの高度化により、無数の商品の中からユーザーが自分の好みに合う「ニッチ商品」を容易に見つけられるようになったこと。ロングテール戦略は、売上の上位20%の商品が全体の80%の売上を作るという従来の「パレートの法則(80対20の法則)」や「ランチェスターの法則(選択と集中)」に対するアンチテーゼ(対照的な理論)として有名になり、ECサイトやデジタルコンテンツ配信プラットフォームのビジネスモデルの基本となっています。
試験でのポイント
応用情報技術者試験では、マーケティング戦略やビジネスモデルの分野において、ロングテール戦略の特徴や成立要件がよく出題されます。選択肢では、「売れ筋商品(上位20%)に絞って販売する従来型の店舗経営とは異なり、容量の低いニッチな商品を幅広く品揃えし、その多数のニッチ商品の合計売上で利益を確保する戦略」といった定義を正確に判断できるようにしてください。また、ロングテールが成立するための前提条件である「陳列スペースの物理的制約がない(棚代や在庫維持コストが無視できるほど小さいこと)」や「レコメンデーション機能(協調フィルタリングなど)によってニッチ商品を推薦できる仕組みがあること」も合わせて問われるため、インフラ(インターネット・システム)の特性とビジネス戦略の結びつきを理解しておくことが重要です。
関連する用語
上位20%の要素が全体の80%の結果を生むというパレートの法則(80対20の法則)、ユーザーの嗜好に合わせて商品を提案するレコメンデーション、および特定の細かな需要に焦点を当てるニッチマーケティングがあります。これらとロングテール戦略を比較・紐付けながら理解を深めましょう。