GPUとは
GPUとは、「Graphics Processing Unit」の略で、3Dグラフィックスなどの「画像や映像の処理」に特化した専用のプロセッサ(演算装置)のことです。CPUが様々な種類の計算を順番に行う「万能型の頭脳」であるのに対し、GPUは単純で大量の計算(特に画像を描くための膨大な座標や色の計算)を、何千ものコアを使って同時に超並列処理することを得意としています。近年では画像処理だけでなく、大量のデータを一度に処理する必要がある「AI(人工知能)の学習や推論」や、「暗号資産のマイニング」「科学技術計算」などの分野でも不可欠な部品となっています。
具体例
複雑な3Dゲームを滑らかに動かしたり、超高画質な4K映画を再生したりする場面です。画面上の数十万個のポリゴンの位置や影の当たり方を1秒間に何度も計算し直して美しい映像を描き出す作業は、CPUではなく、画像処理の専門家であるGPUがすべて引き受けて処理しています。
もう少し詳しく
CPUとGPUは、どちらもコンピュータの計算処理を担う「プロセッサ」ですが、その内部の設計思想と得意分野が根本的に異なります。CPUは、OSを動かしたり、ワープロソフトの入力を受け付けたり、複雑な条件分岐の計算を行ったりと、コンピュータ全体のあらゆる幅広い作業を「一つずつ順番に、しかし極めて高速に」処理するよう設計されています。そのため、CPU内部には少数の非常に強力な演算コア(数個〜数十個)と、複雑な制御回路が搭載されています。
一方のGPUは、画面に表示される数百万個のピクセル(画素)の色や明るさを計算したり、3D空間上のポリゴン(多角形)の頂点座標を計算したりといった、「計算自体は比較的単純だが、圧倒的な回数を同時にこなさなければならない」処理に特化して設計されています。そのため、複雑な制御回路を省く代わりに、単純な演算を行う小さなコアを数百から数千、あるいは数万個も並べた構造になっており、大量のデータを一気に並列処理(超並列処理)できるのが最大の特徴です。
GPUはもともとゲームや映像編集といったグラフィック用途のために発展してきましたが、この「大量の単純計算を並行して行う」という特性が、実は他の多くの分野の計算にも非常に適していることがわかりました。特に、膨大な行列計算を繰り返す「ディープラーニング(深層学習)」などのAI(人工知能)の開発において、GPUの並列計算能力が圧倒的な性能を発揮し、現在のAIブームの立役者となりました。このように、画像処理以外の汎用的な目的でGPUの計算能力を活用する技術や概念を「GPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)」と呼びます。現在では、スーパーコンピュータやクラウドサーバーの多くに高性能なGPUが搭載され、科学技術計算やビッグデータ解析などを支える重要なインフラとなっています。
試験でのポイント
情報処理技術者試験において、GPUは近年特によく出題されるトレンド用語です。最も重要な出題ポイントは、「GPUは本来は画像処理用のチップであるが、現在ではAI(機械学習・ディープラーニング)における膨大な並列計算にも使われている」という点です。選択肢の中で「人工知能の計算に用いられる」「超並列処理が得意である」といった説明があれば、それはGPU(またはGPGPU)を指している可能性が高いです。
また、CPUとの違いを比較させる問題も頻出です。「CPUは複雑で多様な処理を汎用的に行うのに対し、GPUは単純な計算を大量に並列処理することに特化している」というそれぞれの役割の違いを明確に理解しておいてください。試験問題では「単純な行列演算の繰り返し」や「多数のコアを持つ」といったキーワードがGPUに関連づけられて出題されます。
さらに、GPUをグラフィックス処理以外の一般的な計算に応用する技術を指す「GPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)」という用語そのものを問う問題も出題されるため、略語の意味とセットで暗記しておきましょう。
関連する用語
関連する用語として、コンピュータ全体の制御を行う万能型のプロセッサ「CPU」、GPUを汎用的な計算に応用する「GPGPU」、人間の脳の神経回路を模した機械学習の手法「ディープラーニング」などがあります。