不正競争防止法の解説(ITパスポートシラバス用語)

不正競争防止法の解説(ITパスポートシラバス用語)
目次

不正競争防止法とは


不正競争防止法とは、企業同士のルール違反の競争(不正競争)を防ぎ、公正で正しいビジネスの環境を守るための法律です。一生懸命に良い製品を作ったり、有名なブランドを築いたりした企業の努力を、他人がズルをして横取りするような行為を禁止しています。

この法律では、様々な行為が「不正競争」として規定されています。代表的なものとして、有名なブランドのロゴや商品のパッケージにそっくりなものを作って消費者を勘違いさせる行為(周知な商品等表示の混同惹起行為)や、他人の商品の形態(デザインや形)を丸写しした商品を販売する行為(形態模倣商品の提供行為)があります。また、企業が厳重に管理している秘密のデータ(顧客リストや製造マニュアルなど)を盗み出す「営業秘密の侵害」や、ライバル会社の嘘の悪い噂を流して信用を落とす行為も禁止されています。これらに違反すると、被害を受けた企業から損害賠償を請求されたり、刑事罰を受けたりすることがあります。

具体例

A社が長年の努力の末に開発した、非常に人気のあるお菓子「スーパーチョコ」があるとします。ある日、B社がパッケージの色使いやデザインの構図、ロゴのフォントまで「スーパーチョコ」にそっくりな「スーパーチョン」というお菓子を発売しました。お店でお客さんが間違えてB社の商品を買ってしまうような状況は、A社が築き上げたブランド力にただ乗りする「不正競争」にあたります。A社は不正競争防止法に基づいて、裁判所に訴え、B社に対して商品の製造・販売の即時中止を求めたり、奪われた利益の賠償を請求したりすることができます。

もう少し詳しく

不正競争防止法は、特許権や商標権のように「特許庁への登録手続きを経て発生する特定の排他的権利」を保護する法律とは異なり、市場全体において「ズル(不正行為)のない、公正な競争秩序」を保つことを目的としています。特許や商標を登録していない場合であっても、この法律によって保護を受けることが可能なケースがあります。

特にIT社会や情報ビジネスにおいて重要な役割を果たすのが「営業秘密の保護」と「限定提供データの保護」です。

企業が持つデータやノウハウが「営業秘密」として法律的に守られるためには、以下の「3つの要件」をすべて満たしている必要があります。
1. 秘密管理性:情報がアクセス制限やパスワード、秘密扱いの表示(「極秘」「マル秘」スタンプなど)によって、主観的にも客観的にも厳重に管理されていること。
2. 有用性:その情報がビジネス活動において、経費削減や売上向上などに役立つ有用な情報であること。
3. 非公知性:一般には知られておらず、容易に入手できない情報であること。

退職した従業員が、パスワード制限のかかったフォルダから顧客名簿や製品設計データをUSBメモリで盗み出し、ライバル他社に売却したり転職先で利用したりする行為は、典型的な営業秘密侵害(不正競争行為)となります。

また、「限定提供データ(自動運転の走行ログデータや工場の稼働データなど、特定の人にのみ提供される相当量のデータ)」を不正に取得・使用する行為も禁止されており、これにより現代のビッグデータビジネスの安全が守られています。このほか、他人の有名な商品名と同一の文字列を不正な目的(転売目的や嫌がらせ)で「ドメイン名」として登録・使用する行為も不正競争と規定されています。

試験でのポイント

ITパスポート試験のストラテジ系(法務、情報・知的財産法規)において、事例問題として極めて出題されやすい法律です。

試験対策の最大のポイントは、「営業秘密の3要件(秘密管理性、有用性、非公知性)」の内容を確実に暗記しておくことです。試験問題では、「社内のパソコンであれば誰でもパスワードなしで閲覧でき、ファイルにも秘密表示がされていない顧客管理用Excelファイルが、外部に持ち出された。これは営業秘密侵害になるか」といった問題がよく出ます。この場合、有用で未公開であっても「秘密管理性」を満たしていないため、不正競争防止法上の営業秘密侵害には当たらない(=保護されない)という判断が正解となります。

また、他社の製品をデッドコピー(形状をそっくり模倣)して販売する行為や、他社製品の性能を貶める虚偽の情報をSNS等で拡散して営業活動を妨害する行為が、いずれも不正競争防止法で禁止される行為であることを覚えておきましょう。

関連する用語

不正競争防止法に関連する用語には、法律上の保護を受けるために必要な「営業秘密」の3要件、ビッグデータのやり取りを守る「限定提供データ」、他人のブランドの信用にただ乗りするのを防ぐ「商標権」、そしてインターネット上で企業のアイデンティティとなる「ドメイン名」があります。

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