労働者派遣法の解説(ITパスポートシラバス用語)

労働者派遣法の解説(ITパスポートシラバス用語)
目次

労働者派遣法とは

労働者派遣法の図解ガイド.png

労働者派遣法は、派遣社員として働く人たちの権利を守り、派遣という働き方が正しく行われるようにするための法律です。派遣とは、自分が所属している会社(派遣会社)ではなく、別の会社(派遣先)に行って、その派遣先の指示のもとで働く働き方のことです。この法律では、派遣で働ける期間に制限を設けたり、派遣会社が派遣社員に対してマージン率(派遣先から受け取るお金のうち、派遣社員の給料以外に会社が取る割合)を公開することを義務付けられています。また、派遣社員と正社員の間で、仕事の内容が同じであれば不合理な待遇の差を設けてはいけない(同一労働同一賃金)というルールも定められており、派遣で働く人が安心して働ける環境づくりを目指しています。

具体例

システム開発会社であるB社(派遣先)が、派遣会社C社からエンジニアのDさんを受け入れたとします。Dさんの給料は派遣会社C社から支払われますが、日々の仕事の指示はB社の担当者が出します。労働者派遣法により、B社はDさんを同じ部署で原則として 3年を超えて働かせることはできず、もし3年を超えて働いてもらう場合は、Dさんを直接雇用する(自社の社員として雇う)などの対応を検討する必要があります。

もう少し詳しく

労働者派遣法(正式名称:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)は、弱い立場になりがちな派遣労働者の雇用の安定と就業環境の整備を主目的として制定されています。

派遣契約においては、登場する3つの主体の契約および命令関係の構造をしっかりと整理しておく必要があります。

1. 派遣元(派遣会社):派遣労働者と「雇用契約」を締結し、給料の支払いや社会保険の手続き、キャリアアップ教育などを行います。
2. 派遣先(受け入れ企業):派遣労働者と直接の雇用関係はありませんが、自社の業務を遂行してもらうため、実務上の「指揮命令(具体的な業務指示)」を行います。
3. 派遣労働者(派遣社員):派遣元で雇われ、派遣先企業に赴いて、その指示のもとで実労働を提供します。

本法律では、同一の派遣労働者を同一の組織(部署)に「原則3年」を超えて派遣してはならないという「個人単位の期間制限(3年ルール)」を設けています。同じ業務で3年を超えて働かせたい場合は、派遣先企業はその労働者に直接雇用の申し込みをする義務が生じます。また、受け入れた派遣労働者を、さらに別の会社へ労働力として提供する「二重派遣」は、責任の所在が極めて曖昧になり中間搾取が生じるため、法律で厳格に禁止されています。

IT業界では、社外のエンジニアを自社に常駐させてシステム開発を行うケースが多く、この労働者派遣法のルールに抵触しないよう契約実務を徹底することが非常に強く求められます。

試験でのポイント

ITパスポート試験のストラテジ系(法務、契約・労働関連法規)における大定番テーマです。

試験対策の最大のポイントは、「派遣契約」と「請負契約」の違いを明確に区別し、指揮命令関係の有無を正しく答えられるようにすることです。

派遣契約:雇用主は「派遣元」、指揮命令を下すのは「派遣先」となります。
請負契約(および準委任契約):雇用主・指揮命令権ともに「受注側の企業(ベンダー)」にあります。発注元(ユーザー企業)は、常駐している受注側企業の従業員に、直接指示を出してはいけません。

この違いを悪用し、契約書上は「請負契約」としておきながら、実態は発注元の社員が常駐エンジニアに対して直接「あれをやって、これを修正して」と指示を出している状態のことを「偽装請負(ぎそううけおい)」と呼びます。偽装請負は、労働者派遣法や職業安定法に違反する違法行為です。試験問題では、「請負契約を結んで自社に作業員を常駐させ、自社の社員が直接指示を与えて作業させた。この行為は何に抵触するか」といった問題が非常によく出題されるため、「指揮命令関係が誰にあるか」に着目して偽装請負を見破れるようにしておきましょう。

関連する用語

労働者派遣法に関連する用語には、形は請負でありながら実質的に派遣のように働かせる違法な「偽装請負」、成果物の完成を約束して対価を得る「請負契約」、成果物の完成ではなく業務の遂行そのものを引き受ける「準委任契約」、そして正規・非正規の待遇差を解消する「同一労働同一賃金」があります。

読んだ内容を10問練習と実技で確認

記事で理解した用語を、StudyQuestの演習とクラウド実技ラボで定着させます。

10問練習 実技ラボ