スイッチングハブとは
スイッチングハブ(L2スイッチ)とは、LANの中で複数のパソコンやプリンターなどの機器をケーブルで接続し、データを中継するためのネットワーク接続用機器です。道路の交差点や、鉄道のポイント切り替え機のような役割を持っています。
昔のハブ(リピータハブ)は、届いたデータを接続されているすべての機器に無差別に送信していたため、ネットワークが混雑しやすいという弱点がありました。これに対しスイッチングハブは、接続された各機器の「MACアドレス」を学習し、宛先の機器だけにピンポイントでデータを転送します。これにより、無駄な通信が発生せず、複数の機器が同時に高速で通信できるようになります。
具体例
学校のパソコン教室やオフィスのデスクエリアをイメージしてみましょう。
- 教室内の10台のパソコンと,1台の共有プリンターが、すべてLANケーブルで1台のスイッチングハブに接続されています。
- Aさんがプリンターに向けて印刷データを送ったとき、スイッチングハブは「このデータはプリンター宛てだ」と判断し、プリンターがつながるポートだけにデータを流します。
- そのため、他のBさんやCさんのパソコンには無駄なデータが流れず、彼らは邪魔されることなく同時に別のファイルをダウンロードするなどの作業を快適に行うことができます。
もう少し詳しく
スイッチングハブは、OSI基本参照モデルの第2層(データリンク層)で動作する接続機器であり、正式には「レイヤ2スイッチ(L2スイッチ)」とも呼ばれます。スイッチングハブが特定のポートにのみデータをピンポイントで中継できるのは、内部に「MACアドレスアドレステーブル(MACアドレステーブル)」という対応表を保持しているからです。
このテーブルは、以下のような「MACアドレス学習」と呼ばれるプロセスによって自動的に構築されます。
- 学習:スイッチングハブにLANケーブルが接続され、機器がデータを送信すると、ハブはそのデータに含まれる「送信元MACアドレス」と「データが届いた物理ポート番号」のペアをテーブルに記録します。
- 検索と中継:次にデータを受信した際、そのデータの「宛先MACアドレス」をテーブル内から探し出します。該当するMACアドレスが登録されていれば、そのアドレスが紐づいている特定のポートにのみデータを送り出します。
- フラッディング:もし宛先MACアドレスがテーブルに未登録であった場合、または「ブロードキャストアドレス」宛てであった場合は、データの紛失を防ぐために、データが入ってきたポートを除く「すべての物理ポート」にデータを一斉送信します。相手から返信が来れば、その時点でアドレスが学習され、次回からはピンポイント中継が可能になります。
リピータハブは常に全ポートへデータを流すためコリジョン(衝突)が発生しますが、スイッチングハブは通信を個別に切り分けるため、双方向で同時に通信ができる「全二重通信」が可能になり、衝突が完全に排除されます。
試験でのポイント
試験対策としては、スイッチングハブが「OSI基本参照モデルの第2層(データリンク層)」の機器であり、「MACアドレス」を学習・識別して通信を制御する仕組みについて理解しておくことが最重要です。
また、旧来の「リピータハブ(物理層、MACアドレスを解釈しない)」との技術的な相違点がよく出題されます。具体的には、リピータハブはデータの衝突が発生する範囲(コリジョンドメイン)を拡張してしまうのに対し、スイッチングハブはポートごとにコリジョンドメインを分割(最小化)できるため、ネットワーク全体の帯域効率が劇的に向上するというメカニズムや、宛先不明時に全ポートへ流す「フラッディング」という動作名がよく問われます。
関連する用語
スイッチングハブに関連する用語には、機器の物理アドレス「MACアドレス」、動作階層である「データリンク層」、すべてのポートに通信をばら撒く旧式の「リピータハブ」、宛先不明時に一斉送信する動作「フラッディング」、衝突のない双方向通信である「全二重通信」などがあります。