OJTとは

OJT(On-the-Job Training)とは、実際の仕事を通じて、必要な知識やスキルを身につけさせる教育訓練の方法です。日本語では「職場内訓練」とも呼ばれます。
新入社員や異動してきたばかりの社員に対して、先輩や上司が実務をしながら直接指導を行います。座学の研修(Off-JT)とは異なり、実際の業務に直結したスキルを効率よく学べるのが特徴です。指導する側にとっても、教えることで自分の業務を見直すきっかけになったり、マネジメント能力が向上したりするというメリットがあります。
具体例
例えば、飲食店のアルバイトで、先輩スタッフと一緒にお客様のテーブルへ行き、注文の取り方や料理の運び方を実際にやりながら教わるのがOJTです。IT企業であれば、先輩プログラマーの隣に座り、実際のシステム開発を手伝いながらプログラミングのコツや仕事の進め方を教わることもOJTの典型例です。
もう少し詳しく
OJTは、単に「背中を見て覚えさせる」ような放置型の指導ではなく、計画的かつ段階的に行われることが重要です。指導の基本ステップとしては、「やってみせる(Show)」「説明する(Tell)」「やらせてみる(Do)」「評価・フィードバックする(Check)」という4つの段階を経ることで、より高い教育効果を発揮します。新人を指導する先輩社員は「OJTトレーナー(指導員)」や「メンター」と呼ばれ、新人の進捗や習熟度を管理する役割を担います。
人材育成には、このOJTと対をなす手法として「Off-JT(Off-the-Job Training:職場外訓練)」があります。Off-JTは、通常の業務から完全に離れて、会議室での講義や外部セミナー、eラーニングなどで体系的な知識を学ぶトレーニング方法です。さらに、従業員が自発的に資格取得や技術書を読んで勉強する「自己啓発(SD:Self Development)」も加え、これら3つの要素が企業の人材開発の柱となります。
OJTは現場で即戦力となる知識やノウハウが身につく一方、「指導役の教え方のレベルや時間的な余裕によって、教育の効果にバラつきが出やすい」というデメリットがあります。また、体系的で基礎的な知識を効率よく教えるのには向いていません。そのため、まずOff-JTで基礎知識をインプットし、その後にOJTで実務を通して応用力をアウトプットさせるというように、両者をバランスよく組み合わせるブレンディッドな研修プログラムの構築が効果的とされています。
試験でのポイント
ITパスポート試験では、ストラテジ系(企業活動、組織論・人的資源管理)の分野において、企業内教育(社員研修)に関する基本用語として繰り返し出題されます。
試験対策のポイントは、教育方法の事例が提示された際に、「OJT」「Off-JT」「自己啓発(SD)」のどれに該当するかを明確に分類・識別できるようにすることです。例えば、「先輩の指導のもとで、実際の顧客データを使って売上集計レポートを作成する手順を学ぶ」は実務を通しているためOJTです。一方、「通常業務を休み、社内の会議室でビジネスマナーやプログラミングの基礎講義を専門講師から受ける」は実務から離れているためOff-JTです。また、「会社からの指示ではなく、業務時間外に自主的にITパスポートの参考書を買って勉強する」のは自己啓発に分類されます。この3者の違い、特に「実務の中(On-the-Job)」か「実務の外(Off-the-Job)」かという基準を頭に入れ、紛らわしい選択肢に惑わされないようにしましょう。
関連する用語
OJTの理解を深める関連用語として、通常の業務から離れて行う座学研修や外部セミナーなどを指す「Off-JT」、個人の主体的意思で能力向上を図る「自己啓発(SD)」、そして各社員が保有するスキルを一覧表にして可視化する「スキルマップ」があります。