MIMOとは

MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)とは、送信側と受信側の両方に複数のアンテナを搭載し、同じ周波数帯を使って同時に複数の異なるデータを送受信することで、無線通信の速度や安定性を飛躍的に向上させる技術です。
従来の無線通信は、1対のアンテナで1つのデータを送るため、障害物による電波の乱れ(反射波)は通信の邪魔になっていました。しかし、MIMOでは反射して届く複数の電波をあえて異なる通信経路として活用し、高度な計算によって元通りのデータに合成します。アンテナの数を増やせば増やすほど、無線でありながら光ファイバー並みの高速通信が可能になり、電波が届きにくい遮蔽物の多い場所でも接続が切れにくくなります。
具体例
最新のWi-Fiルーター(無線LAN親機)やスマートフォン、5G通信のアンテナに搭載されています。例えばルーターに4本のアンテナがあり、スマホにも4本のアンテナがある場合(4x4 MIMO)、道路が4車線に増えたように、一度に4倍のデータを同時に送ることができるため、高画質な動画のストリーミングや大容量のゲームのダウンロードが途切れることなくスムーズに行えます。
もう少し詳しく
MIMO技術は、通信の高速化を行う「空間多重(空間マルチプレクシング)」と、通信の安定化を行う「空間ダイバーシティ」の2つのモードに大別されます。空間多重では、異なるアンテナから別々のデータを同時に送信し、受信側でそれらを分離して元の高速なデータに戻します。一方、空間ダイバーシティでは、同じデータを少し位相を変えて複数のアンテナから送信することで、フェージング(電波の干渉による減衰)に強い安定した通信経路を確保します。さらに、MIMOが進化し、複数のユーザー端末に対して同時に異なるデータを割り当てる「MU-MIMO(マルチユーザーMIMO)」が登場しました。これにより、1台の基地局やWi-Fiルーターに対して複数のスマートフォンが同時にアクセスしても、通信速度が低下することなく並行して通信が可能となりました。
試験でのポイント
試験においては、MIMOが「送受信の両方に複数のアンテナを使用し、同一周波数帯で空間多重伝送を行う技術である」という定義が問われます。また、1対1の通信を高速化する「SU-MIMO(シングルユーザーMIMO)」と、複数の端末と同時通信を行う「MU-MIMO(マルチユーザーMIMO)」の違いがシラバスの無線LAN(Wi-Fi 5/IEEE 802.11acや、Wi-Fi 6/802.11axなど)や携帯電話(5G/LTE)の規格仕様と絡めて出題されます。特にMU-MIMOが「空間的に電波を制御することで、複数端末への干渉を防ぎながら同時通信を実現している」という仕組みのポイントを掴んでおきましょう。
関連する用語
MIMOに関連する用語としては、複数端末との同時通信を実現する「MU-MIMO」や、電波を特定の方向に向けて集中させる技術「ビームフォーミング」があります。また、無線LANの標準規格である「IEEE 802.11ac(Wi-Fi 5)」や「IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)」、さらに次世代の超多数アンテナ技術である「Massive MIMO」も重要な関連用語です。