MPLSとは

MPLS(Multi-Protocol Label Switching)とは、ネットワーク上でデータを転送する際、データに「ラベル」と呼ばれる目印を貼り付け、そのラベルだけを見て高速かつ柔軟にデータを転送する技術です。主に通信キャリアや大企業の専用回線網などで使われます。
通常のインターネットのルーターは、データのヘッダに書かれた「IPアドレス(宛先情報)」を読み取り、毎回ルートの地図と照らし合わせて次に送る場所を判断するため、処理に時間がかかります。一方、MPLSでは、ネットワークの入り口で宛先に応じた短い「ラベル」を貼り付け、途中のルーターはIPアドレスを見ずにラベルだけを見てバケツリレーのように超高速に転送します。さらに、通常とは異なる迂回ルートを意図的に指定することも簡単にできます。
具体例
郵便局の仕分けに例えられます。手紙の住所(IPアドレス)を1通ずつ読んで仕分ける代わりに、入り口で「東京行き=青いシール」「大阪行き=赤いシール」を貼り、途中の配達員はシールの色(ラベル)だけを見て機械的に仕分けることで、配達のスピードと効率を劇的に向上させる仕組みがMPLSです。
もう少し詳しく
MPLSでは、IPヘッダの代わりに「MPLSヘッダ(シムヘッダ)」を挿入し、そこに20ビットの「ラベル」情報を記録します。これにより、IPプロトコルだけでなく、IPv6やその他の異なるネットワークプロトコル(マルチプロトコル)を透過的に運ぶことができます。MPLSネットワークの入り口のルーター(LER:Label Edge Router)がラベルを付与(プッシュ)し、内部のルーター(LSR:Label Switching Router)はラベルを書き換えながら(スワップ)転送し、出口のLERがラベルを取り除きます(ポップ)。この一連の転送経路を「LSP(Label Switched Path)」と呼びます。また、MPLSは、特定のLSPを手動またはプロトコル(RSVP-TEなど)で設定することで、通常のIPルーティングでは不可能な経路指定を行う「トラフィックエンジニアリング(TE)」や、企業のプライベート通信を安全に行う「IP-VPN(MPLS-VPN)」サービスの基盤として広く実用化されています。
試験でのポイント
試験では、MPLSが「IPアドレスの検索を不要にし、短いラベルを使って高速な転送を行う技術である」という動作概念が問われます。また、通信キャリアの閉域網サービスである「IP-VPN」を実現するコア技術としてMPLSが使われている点も重要です。パケットのヘッダ処理において、レイヤ3(IP)とレイヤ2(イーサネットなど)の間にMPLSヘッダが挿入されるため、俗に「レイヤ2.5のプロトコル」と呼ばれることがあるという特徴についても頭の片隅に置いておきましょう。さらに、通常のルーティングテーブル検索(最長一致検索)に比べて、ラベルインデックスのルックアップが非常に低負荷であるメリットについても整理しておきます。
関連する用語
MPLSに関連する用語としては、通信キャリアが提供する閉域網サービス「IP-VPN」や、MPLS網の境界に配置される「LER(ラベルエッジルーター)」、内部で高速転送を行う「LSR(ラベルスイッチングルーター)」があります。また、定義される転送経路「LSP」や、経路に帯域制限などを付与する「トラフィックエンジニアリング(TE)」も重要な関連ワードです。