クライアントサーバシステムとは
クライアントサーバシステムとは、ネットワークを利用したシステムの形態の一つで、サービスを要求する側(クライアント)と、サービスを提供する側(サーバ)で、役割(処理)を明確に分担して運用する仕組みのことです。クライアント(パソコンやスマートフォンなど)は、画面を表示してユーザの入力を受け付け、サーバに対して処理を「リクエスト(要求)」します。サーバ(専用の高性能コンピュータなど)は、その要求を処理してデータベースなどを更新し、結果を「レスポンス(応答)」として返します。
具体例
身近な例として、飲食店の関係に例えられます。注文をする客(クライアント)が「ハンバーガーをください」と注文(リクエスト)し、厨房の料理人(サーバ)が調理を行って料理(レスポンス)を客に提供します。このように役割を分担することで、客は料理の作り方を知らなくても美味しい料理を食べることができ、料理人は調理に専念できます。プログラム的なやり取りは以下のようになります。
[ クライアント (PC/スマホ) ]
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+--- 1. リクエスト (データの保存要求) ---> [ サーバ (保存処理・DB) ]
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<--- 2. レスポンス (保存完了通知) -------------+
もう少し詳しく
クライアントサーバシステムは、1990年代に登場し、現在でもあらゆるITシステムの土台となっている非常に重要なアーキテクチャ(設計思想)です。それ以前の時代は、大型の「メインフレーム(汎用機)」と呼ばれる巨大なコンピュータがすべての処理とデータの保存を行い、利用者は「ダム端末(計算能力を持たない、ただ画面を表示するだけの機械)」を使ってメインフレームに接続する「集中処理型」のシステムが主流でした。しかし、パソコンの性能が向上し安価に普及したことで、画面の描画や入力チェックといった軽い処理は手元のパソコン(クライアント)で行い、複雑な計算や大量のデータの保存・検索は強力なサーバーで行うという「分散処理型」のクライアントサーバシステムが普及しました。
この役割分担には多くのメリットがあります。第一に、システム全体の負荷が分散されるため、サーバーの処理負担が軽減されます。第二に、クライアント側に専用のアプリケーションをインストールすることで、ユーザーにとって操作性が高くリッチな画面(GUI)を提供できるようになります。第三に、データはサーバー側で一元管理されるため、複数のクライアントから同時にアクセスしても矛盾が生じず、データの整合性やバックアップの管理が容易になります。
一方でデメリットもあります。クライアント側に専用のソフトウェアをインストール・設定する必要があるため、利用者が増えたり、ソフトウェアのバージョンアップが発生したりするたびに、システム管理者がすべてのクライアント端末をメンテナンスしなければならず、運用コスト(TCO:総所有コスト)が増大しがちです。このメンテナンスの課題を解決するために発展したのが、専用ソフトをインストールせずにブラウザだけで利用できる「Webシステム(3層アーキテクチャ)」です。
試験でのポイント
基本情報技術者試験では、クライアントサーバシステムの歴史的な背景や、他のアーキテクチャとの比較がよく問われます。「データとプログラムの集中管理による一貫性の確保」や、「処理の分散によるサーバー負荷の軽減」といった特徴を選択肢から選ばせる問題が頻出です。
また、データの入力ミスなどを防ぐための「入力チェック(バリデーション)」をどこで行うべきかという設問も出題されます。ネットワークの通信量を減らし、サーバーの負荷を下げるためには、明らかな入力エラー(必須項目の入力漏れや、半角数字の欄に全角文字が入力されたなど)は、サーバーへ送信する前に「クライアント側」でチェックしてエラー画面を出すのが定石です。このクライアント側の役割とサーバー側の役割の違いを正しく理解しておくことが重要です。
関連する用語
クライアントサーバシステムの発展形として、ブラウザだけで完結する「Webシステム」があります。また、サーバを経由せずに、端末同士(PCやスマホ同士)が対等な関係で直接データをやり取りする仕組みを「P2P(ピアツーピア)」と呼び、クライアントサーバモデルの対義的な構成として比較されます。