MTTRの解説(基本情報技術者シラバス用語)

目次

MTTRとは

MTTR(Mean Time To Repair:平均修復時間)とは、システムが「故障してから、修理が完了して再び正常に動き出すまでに要した平均時間」のことです。つまり、復旧作業にかかる平均時間であり、この値が小さければ小さいほど「故障したときの復旧が素早く、メンテナンス性が優れているシステム」であることを示します。バックアップからのリストア(復旧)手順が自動化されているかや、サポート体制が整っているかによってこの値は小さくなります。稼働率の向上には、MTBFを大きくするだけでなく、このMTTRを小さくすることも不可欠です。

具体例

あるサーバーが過去に2回故障し、1回目の復旧に「3時間」、2回目の復旧に「5時間」かかったとします。この場合、修復にかかった時間の平均値であるMTTRは、以下のように計算されます。

MTTR = (3時間 + 5時間) / 2回 = 4時間

このサーバーは、もし壊れても平均して4時間で復旧できると予測され、この数値を短縮するために自動復旧スクリプトなどの導入が検討されます。

もう少し詳しく

MTTRは、ITシステムやハードウェアの「保守性(Serviceability)」を評価するための重要な指標です。「形あるものやプログラムはいつか必ず壊れる」という前提に立った場合、MTBF(平均故障間隔)を伸ばす努力だけでは限界があります。そこで、「いかに早く原因を特定し、いかに早く修理を終えてサービスを再開させるか」という保守の視点が極めて重要になります。

MTTRを短縮する(=数値を小さくする)ための具体的な対策には、ハードウェア面と運用管理面の両方のアプローチがあります。ハードウェア面では、故障した部品(例えばハードディスク)を、システムの電源を入れたまま交換できる「ホットスワップ」機能に対応した機器を導入したり、部品をモジュール化して交換作業自体をシンプルにしたりする工夫があります。
運用管理面では、システムに異常が起きた際に即座に管理者にアラートメールを送信する「監視システム」の導入や、故障箇所を素早く特定するための詳細なエラーログの出力設計、さらには障害発生時の復旧手順書(マニュアル)を日頃から整備・訓練しておくことがMTTRの短縮に直結します。

近年では、クラウドコンピューティングの普及により、物理的なサーバーの修理を待つのではなく、「壊れた仮想サーバーは破棄し、あらかじめ用意しておいた自動スクリプトを使って、数分で新しいサーバーを構築して置き換える」という運用(イミュータブルインフラストラクチャ)が広まっており、これによりMTTRを劇的に短縮することが可能になっています。

試験でのポイント

基本情報技術者試験において、MTTRはMTBFと並んで稼働率の計算問題における必須の要素です。計算問題では「MTTRが○時間、MTBFが○時間のシステムの稼働率はいくつか」といった形で出題されます。稼働率を求める公式「MTBF / (MTBF + MTTR)」の中に正しく当てはめて計算できるよう訓練しておきましょう。

また、RASISの観点から「保守性」を高めるための施策を問う問題において、「MTTRを短縮すること」が正解となる選択肢がよく出ます。試験で迷いやすいポイントとして、MTBFは「値が大きい(長い)ほど優秀」であるのに対し、MTTRは「値が小さい(短い)ほど優秀」であるという違いがあります。問題文を素早く読む際に、この「大きい方が良い指標」と「小さい方が良い指標」を混同しないように注意深く読み解くことが得点の鍵となります。

関連する用語

MTTRと対になる指標が「MTBF(平均故障間隔)」です。両者を組み合わせて算出される「稼働率」はシステムの総合的な安定性を示します。また、システム評価指標の枠組みである「RASIS」において、MTTRは「S(Serviceability:保守性)」を評価するための数値として扱われます。故障を前提として被害を最小限に抑えつつ素早く復旧させる設計思想である「フェールソフト」とも関連が深い用語です。

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