可用性とは
可用性(Availability)とは、情報セキュリティの基本である「3要素(CIA)」の一つで、システムや情報が必要なときに、許可された利用者がいつでも中断されることなく利用できる状態を維持することです。どれだけ強固に暗号化され(機密性)、正しく保管された(完全性)データであっても、システムが停止して使えなくなってしまっては価値が半減します。可用性を高めるためには、サーバーを複数台用意して1台が壊れても予備が動くようにしたり(冗長化)、定期的にバックアップをとったり、停電に備えて予備電源(UPS)を設置したりする対策が取られます。
具体例
24時間365日稼働しているオンラインショッピングサイトにおいて、深夜にアクセスが集中したり、サーバー機器の一部が故障したりしても、別の予備サーバーへ自動的に処理を引き継がせることで、ユーザーがいつでも買い物を続けられる状態を保ちます。
[Webアクセス] --> [ロードバランサ] --> [本番サーバー (稼働中)]
--> [予備サーバー (待機中 / 故障時に自動昇格)]
もう少し詳しく
情報セキュリティにおける可用性(Availability)は、許可されたユーザーがシステムやデータを使いたいときに支障なく使える状態(サービス継続性)を守ることを指します。可用性を脅かす主な要因としては、サーバーの物理的な故障、急激なアクセス集中によるシステム過負荷、地震や火災などの災害による停電やネットワーク断絶、そしてDoS攻撃(DDoS攻撃)などの悪意あるサーバー妨害行為が挙げられます。
可用性を向上・維持させるためには、主に以下のような対策や設計が行われます。
・システムの冗長化(二重化): サーバーやネットワーク機器、回線、ストレージ(RAIDなど)を複数用意し、一部が壊れても予備が即座にカバーする仕組みを構築します。
・負荷分散(ロードバランシング): ロードバランサを用いてアクセスを複数のサーバーに分散させ、1台のサーバーに負荷が集中するのを防ぎます。
・電源対策: 停電時に一時的に電力を供給する「無停電電源装置(UPS)」や、長時間の停電に対応する「自家発電機」を設置します。
・データバックアップ: 定期的にデータを別の場所(クラウドや遠隔地のストレージ)にコピーしておき、システムが致命的な損害を受けた際にも速やかに復旧できるようにします。
システムの信頼性を表す指標として「稼働率(システムが正常に動作している時間の割合)」が用いられ、可用性を高く保つことは稼働率を100%に近づける努力そのものであると言えます。
試験でのポイント
試験において「可用性」は、システムの物理的な壊れにくさや、障害発生時の復旧能力、サービスの中断を防ぐためのインフラ構築に関する問題として多く登場します。特に可用性を高めるための具体的な対策として以下のキーワードを覚えておきましょう。
・RAID(複数のハードディスクを組み合わせ、1台が壊れてもデータを失わないようにする技術)の導入。
・デュプレックスシステムやアクティブ・アクティブ構成など、予備のシステムを常にスタンバイさせておく設計。
・UPS(無停電電源装置)の設置による、落雷や停電時の動作継続対策。
・ディザスタリカバリ(DR:災害復旧対策)として、遠隔地に予備のデータセンターを構築しておく取り組み。
・クラウドサービスを利用して物理サーバーの管理を委託し、可用性に関する保証値(SLA:サービス品質保証)を取り交わすこと。
また、可用性の指標であるMTBF(平均故障間隔:故障せずに動いていた平均時間)を長くし、MTTR(平均復旧時間:故障から復旧するまでにかかった平均時間)を短くすることが、可用性(およびシステムの稼働率)を向上させるために本質的であるという理論問題も頻繁に出題されます。
関連する用語
情報セキュリティの3要素である「機密性」と「完全性」、システムが故障してから復旧するまでの平均時間である「MTTR」、ハードディスクの故障に備えて冗長化を図る「RAID」などがあります。