下請法の解説(ITパスポートシラバス用語)

下請法の解説(ITパスポートシラバス用語)
目次

下請法とは

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下請法(正式名称:下請代金支払遅延等防止法)は、大きな会社(親事業者)が小さな会社(下請事業者)に対して、理不尽な取引を押し付けることを禁止し、下請事業者を守るための法律です。仕事を発注する側(親事業者)は立場が強くなりがちで、仕事を受ける側(下請事業者)は逆らえないことが多いです。そこでこの法律では、発注した仕事が完了したのに代金の支払いを遅らせること(支払遅延)や、あらかじめ決めた代金を後から勝手に減らすこと(下請代金の減額)、また発注した側の一方的な都合で商品の受け取りを拒否すること(受領拒否)などを固く禁じています。これによって、立場の弱い下請事業者が不当な不利益を被らないようにし、公正な取引が行われるようにしています。

具体例

大手のIT企業E社(親事業者)が、小規模なデザイン会社F社(下請事業者)にWebサイトのデザインを発注したとします。F社がデザインを完成させて納品したにもかかわらず、E社が「今月は業績が厳しいから、代金の支払いを半年待ってくれ」と言ったり、「やっぱり予算が足りないから、約束した金額から2割減らして振り込むね」としたりすることは、下請法違反となります。E社は納品から原則として60日以内に代金を全額支払わなければなりません。

もう少し詳しく

下請法は、公正な市場競争を確保するための基本法である「独占禁止法」の特別法として位置づけられており、特に取引上の立場の差から発生しやすい不当な行為を迅速かつ効果的に取り締まるために制定されています。

下請法が適用されるかどうかは、取引を行う親事業者と下請事業者の「資本金の規模」および「取引の内容(製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託)」によって厳格に決まります。IT業界で行われる「システム開発」「プログラム作成」「Webサイト制作」などは、法律上の「情報成果物作成委託」や「役務提供委託」に分類され、例えば発注側(親)の資本金が3,000万円超で受注側(下請)の資本金が3,000万円以下などの条件を満たした場合、自動的に下請法の適用対象取引となります。

下請法は、親事業者に対して「4つの義務」と「11の禁止事項」を規定しています。

親事業者の4つの義務
1. 書面の交付義務:発注後直ちに、仕事の内容、代金額、支払期日などを記載した発注書(通称:3条書面)を下請事業者に交付しなければなりません。
2. 書類の作成・保存義務:取引の記録を記載した書類を作成し、2年間保存しなければなりません。
3. 支払期日を定める義務:下請代金の支払期日を、給付(成果物)を受領した日から起算して「60日以内」かつできる限り短い期間内で定めなければなりません。
4. 遅延利息の支払義務:支払期日までに代金を支払わなかった場合、受領後60日を経過した日から支払日までの期間について、年率14.6%の遅延利息を支払わなければなりません。

代表的な禁止事項
受領拒否:下請事業者に責任がないのに、成果物の受け取りを拒否すること。
下請代金の支払遅延:受領後60日以内に代金を支払わないこと。
下請代金の減額:あらかじめ定めた代金を、下請事業者に非がないにも関わらず、発注後に一方的に削ること(名目を問わず禁止)。
返品:受領後に、下請事業者に非がないのに引き取った成果物を返すこと。
買いたたき:通常の対価に比べて、著しく低い代金を一方的に定めること。

試験でのポイント

ITパスポート試験のストラテジ系(法務、契約関連・企業活動)における必須の法規知識です。システムやソフトウェアの開発委託契約に関わる具体例を交えて出題されます。

試験対策上の重要チェックポイントは以下の通りです。
1. 支払期日の60日ルール:親事業者は、成果物を受領した日から「60日以内」に代金を支払わなければならない点、およびそれを過ぎると「遅延利息」が発生する点を確実に覚えましょう。
2. 親事業者の義務と禁止事項:発注時には「直ちに契約条件を書面で交付する義務」があること、また下請事業者に非がない限り「減額」「返品」「受領拒否」「買いたたき」は一律で禁止されることを理解してください。
3. 合意があっても違法(ひっかけ対策):試験の選択肢でよく見られる「下請会社の合意があったため、納品から90日後に代金を支払った」や「下請会社が納得したため、発注時の金額から10%を値引いて支払った」といった内容は、すべて違法です。下請法は強行法規的な性質を持つため、たとえ相手方の同意や了承があったとしても、禁止事項に触れる行為は一切免罪されないというポイントを絶対に押さえておきましょう。

関連する用語

下請法に関連する用語には、市場の公正な競争を守る大元の「独占禁止法」、発注時に親事業者が交付しなければならない「3条書面(発注書)」、受領後60日以内の支払い義務を指す「支払遅延の禁止」、そして不当に安い代金を押し付ける「買いたたき」があります。

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