正規分布とは

正規分布(せいきぶんぷ)とは、統計学や確率論において最も基本的で重要な、左右対称のつりがね型(ドーム型)をしたデータの分布のことです。平均値付近のデータが最も多く、平均から離れるにつれてデータの数がなだらかに減っていくという特徴を持っています。自然界の現象や人間の行動に関するデータの多く(身長、体重、テストの点数、製品の寸法の誤差など)は、データ数が十分に多くなるとこの正規分布に近い形になります。ITの分野では、Webサイトへのアクセス数の予測、AIによる画像認識の判定誤差の分析、工場の製造ラインにおける不良品発生率の品質管理(シックスシグマ)などに広く利用されています。
具体例
ある学校の生徒1,000人が受けた模擬テストの点数の分布をイメージしてみましょう。
平均点が60点のテストの場合:
・60点前後の生徒の人数が最も多く(山の頂上)
・80点や90点といった高得点の生徒は少なく(右の裾野)
・30点や20点といった低得点の生徒も少ない(左の裾野)
このデータ全体の人数をグラフにプロットすると、中央の60点が高く、両端に向かって滑らかに低くなる美しいつりがね型のカーブ(正規分布)を描きます。
もう少し詳しく
正規分布は、ガウス分布とも呼ばれる連続型の確率分布です。数学的には「平均値」「中央値」「最頻値」がすべて一致するという完全な対称性を持っています。統計学において正規分布が多用される最大の理由は「中心極限定理」という数学的性質にあります。これは、元のデータがどのような分布(極端に偏った分布など)であっても、そこから抽出した標本(サンプル)のサイズが大きくなればなるほど、そのサンプルの平均値の分布は正規分布に近づくという強力な法則です。さらに、標準偏差(σ)との関係が重要であり、データが正規分布に従う場合、平均±1σの範囲に全体の約68.3%、±2σの範囲に約95.4%、±3σの範囲に約99.7%が含まれるという経験則(68-95-99.7則)が成り立ちます。
試験でのポイント
試験では、正規分布の性質に関する知識問題が頻繁に出題されます。「平均値と中央値と最頻値が等しい分布はどれか」という特徴を選ぶ問題や、「平均値±1σ(または±2σ)の範囲に含まれるデータの割合」を問う問題が定番です。68.3%、95.4%という数値は暗記しておく必要があります。また、システム監査や品質管理の領域(QC七つ道具など)において、製造工程の品質のバラツキ(工程能力)が正規分布に従うことを前提としたヒストグラムや管理図の読み取り問題としても出題されるため、グラフの形状を視覚的に理解しておくことが重要です。
関連する用語
標準偏差、中心極限定理、ヒストグラム