スコープとは
スコープとは、プロジェクトマネジメントにおいて、プロジェクトの「実施範囲」や「作成する成果物の明確な定義」のことです。何をプロジェクトの作業対象とし、逆に何を対象外(スコープ外)とするかを明確に切り分ける非常に重要なプロセスを指します。
開発プロジェクトの途中で「あれも追加してほしい」「これもついでにやってほしい」と要望が際限なく膨らみ続けると、予算やスケジュールのオーバー(プロジェクトの失敗)を招きます。そのため、プロジェクトの開始前に、顧客と「今回の開発で作成する画面や機能はここまで」「過去データの移行作業や本番環境の構築は対象外」といった範囲(スコープ)を文書でしっかりと合意しておく必要があります。
具体例
例えば、店舗用のホームページを制作するプロジェクトにおいて、スコープを「トップページ、メニュー紹介、店舗アクセスの3つの画面の作成」と定義します。「オンラインショップ機能」や「ネット予約システム」は、今回の予算と開発期間では対応しないため「スコープ外(対象外)」として仕様書や計画書に明記します。
もう少し詳しく
スコープ管理(スコープマネジメント)は、プロジェクトが「必要十分な作業だけを確実に実行し、余計な作業は行わないように制御する」ための活動です。スコープには大きく分けて、作成する製品やシステムが提供する機能や特徴を示す「プロダクトスコープ」と、その成果物を作り上げるために必要な作業全般を示す「プロジェクトスコープ」の2種類があります。プロジェクトの進行中に、公式な手続きを踏まずに顧客やメンバーの思いつきで細かい機能や仕様変更が次々と追加され、全体の予算やスケジュールが破綻してしまう現象を「スコープクリープ(スコープの肥大化)」と呼びます。これを防ぐためには、要件定義の段階で何を作成し何を作成しないか(対象外)を明確にしたスコープ記述書を作成し、変更が発生した際には正式な承認ルートを通す「変更管理」の仕組みを整備しておくことが重要です。
試験でのポイント
試験においては、「プロダクトスコープ(作成すべき成果物の機能や範囲)」と「プロジェクトスコープ(その成果物を作るために必要な作業)」の定義の区別がよく出題されます。また、スコープを明確に定義して合意することが、「プロジェクトの遅延や予算超過を防ぐための土台となる」という本質的な意義が問われます。さらに、スコープを定義したのちに、それを具体的な作業へ落とし込むためにWBSが作成されるというプロセス全体の流れと、変更が生じた際のコントロール手順が問われやすいポイントです。
関連する用語
範囲をタスクに分解するWBS、プロジェクト管理ガイドであるPMBOK、仕様追加のリスクを制御する変更管理、さらにシステム開発の初期で認識を合わせるプロトタイピングなどと深く結びついています。