ゲーム理論とは
ゲーム理論とは、自分と相手の行動が、お互いの利益や結果に影響を与え合う状況において、それぞれの参加者が「自分にとって最も有利になるにはどう行動すべきか」を数学的に分析する理論です。経済学、経営学、軍事、そしてIT分野のシステム設計など幅広く応用されています。
ゲーム理論の特徴は、相手がどのような選択をしてくるかを予測し、それに応じた自分の最適な選択肢を考える点にあります。全員が「相手がこう来るなら自分はこれが一番得だ」と考えて行動した結果、お互いにこれ以上戦略を変えるメリットがない安定した状態にたどり着くことがあり、これを「ナッシュ均衡」と呼びます。
具体例
ゲーム理論の代表的な例に「囚人のジレンマ」があります。共同で罪を犯した2人の容疑者が別々に取り調べを受け、「2人とも黙秘すれば軽い罪で済む」とわかっていても、「自分だけ自白すれば釈放され、相手が黙秘し続けたら相手は重罪になる」という状況に置かれると、お互いに相手を信用できずに2人とも自白してしまい、結果として2人とも中程度の罪という最悪に近い結末を選んでしまう現象です。
もう少し詳しく
ゲーム理論における「ゲーム」とは、複数のプレイヤー(意思決定者)、それぞれが取れる選択肢(戦略)、そしてその結果得られる得失(利得)の3つの要素で定義されます。代表的なモデルとして、すべてのプレイヤーの利得の合計が常にゼロになる「ゼロサムゲーム」(一方が得をすれば他方が必ず損をする関係)と、合計がゼロにならない「非ゼロサムゲーム」(囚人のジレンマのように、協力することで全体の利益を増やせる可能性がある関係)があります。また、意思決定が一回限りの「静学ゲーム」だけでなく、時間の経過とともに交互に意思決定を繰り返す「動学ゲーム」や「繰り返しゲーム」も存在します。繰り返しゲームにおいては、最初は裏切るインセンティブがあっても、将来の報復を恐れて協調関係が維持されやすくなるなど、より複雑で現実的な社会現象や人間関係、あるいは分散システムのインセンティブ設計をモデル化することができます。
試験でのポイント
シラバスや試験においては、利得表(マトリクス)を読み解き、「ナッシュ均衡」や「支配戦略」を見つけ出す問題が出題されます。各プレイヤーの視点に立ち、相手がどの行動を選択したとしても常に自分にとって有利な選択肢(支配戦略)が存在するかを確認し、お互いの最適な選択が交わるポイント(ナッシュ均衡)を導き出す手順を理解しておく必要があります。また、囚人のジレンマにおける「個人にとっての最適(自白)が、全体としての最適(黙秘)と一致しない」という概念や、類似の状況が現実のビジネス(価格競争や過剰な広告投資など)でどのように発生しているかを結びつけて理解することが得点力に繋がります。
関連する用語
ゲーム理論に関連する概念としては、プレイヤー全員の利得の合計が常にゼロになる「ゼロサムゲーム」や、相手の裏切りに対して同じ裏切りで報復する「しっぺ返し戦略(Tit for Tat)」があります。さらに、IT分野ではブロックチェーンの合意形成アルゴリズム(ビットコインのPoWなど)において、不正を働くよりもルールに従う方が利得が大きくなるようにする「インセンティブ設計」や「トークノミクス」の分野でゲーム理論が強く意識されています。