IaaSとは
IaaS(Infrastructure as a Service:イアス/アイアース)とは、インターネットを経由して、コンピュータの仮想サーバー、CPU、メモリ、ハードディスク(ストレージ)、ネットワークといった「インフラ(情報システムを動かすための土台)」を貸し出すクラウドサービスのことです。
物理的なサーバーを購入して自社オフィスやデータセンターに設置する場合、準備に数週間から数か月かかりますが、IaaSを使えば、Webブラウザ上の管理画面からボタンをクリックするだけで、わずか数分でインターネット上に仮想的なサーバーを構築できます。OS(WindowsやLinuxなど)やインストールするソフトウェアを自由に選べるため自由度が高い一方、OSのセキュリティ対策や設定は自分で行う必要があります。
具体例
企業やエンジニアがIaaSを利用する具体例として、以下のようなものがあります。
- Amazon EC2(AWS):必要なときに必要な台数だけ、様々なスペックの仮想サーバーを作成してWebサイトを立ち上げる。
- 一時的なキャンペーン用の特設サイトを公開するために、アクセスが集中する1週間だけサーバーの台数を増やし、終わったらすぐに削除してコストを抑える。
- 巨大なデータを保存するために、大容量のクラウドストレージ(Amazon S3など)を契約してバックアップサーバーとして利用する。
もう少し詳しく
IaaSは、クラウドサービスの中で最もハードウェアに近い「インフラストラクチャ(基盤)」を提供するモデルです。物理的なサーバー機器やスイッチ、ルーター、ファイアウォールといったネットワーク機器はすべてベンダーのデータセンター内に配置され、ユーザーにはそれらを仮想化した「仮想サーバー(VM: Virtual Machine)」や「仮想ネットワーク」が割り当てられます。ユーザーは割り当てられた仮想サーバーに対して、自社が選定した任意のOS(LinuxのCentOSやUbuntu、Windows Serverなど)をインストールし、その上で動かすアプリケーションやミドルウェアを完全に自由に構成することができます。
IaaSの最大の特長はその「自由度の高さ(カスタマイズ性)」にあります。従来のオンプレミス(自社所有システム)とほぼ同じようにシステムを構築できるため、複雑な業務要件を持つ既存システムをクラウドへ移行する(リフト&シフト)のに非常に適しています。また、使用したリソース(CPU時間、ディスク容量、ネットワーク転送量など)に応じて課金される「従量課金制」が一般的で、無駄なコストを抑えられます。ただし、OSの脆弱性に対するセキュリティパッチの適用や、ウイルス対策、データベースのバックアップといった管理業務はすべてユーザー側の責任で行わなければならず、高度なITスキルが必要とされます。
試験でのポイント
試験対策としては、「SaaS」「PaaS」「IaaS」の責任境界におけるIaaSの位置づけを明確に理解することです。IaaSベンダーが提供・管理するのは、物理的な「ハードウェア(サーバー、ネットワーク、ストレージなど)」およびそれらを動かすための「仮想化レイヤー」までです。その上の「OS」「ミドルウェア」「アプリケーション」「データ」はすべてユーザーの管理・責任範囲となります。このため、3つのサービス形態の中で最もユーザー側の管理の手間とセキュリティ責任が大きい代わりに、最もカスタマイズ性が高いという特徴があります。
問題文で「OSの選定やインストールを自社で行う」「物理サーバーを所有せずに、自由にシステムを構築したい」「インフラ層のみを借り受けたい」といった表現が出てきたら、IaaSを指していると判断してください。また、物理的な機器を自社に設置する「オンプレミス(自社所有)」とのコストや準備期間の対比もよく問われるテーマです。
関連する用語
IaaSに関連する用語としては、物理サーバーを自社内に設置する「オンプレミス」、より上位のレイヤーを提供する「PaaS」や「SaaS」があります。また、1台の物理サーバーを分割して複数の仮想サーバーを作る「仮想化技術(ハイパーバイザなど)」や、ハードウェアの構成をソフトウェア(コード)で制御する「IaC(Infrastructure as Code)」も関連性の高い用語です。