DXの解説(基本情報技術者シラバス用語)

目次

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がAIやクラウド、IoTなどの最新のデジタル技術を単に仕事の効率化のために導入するだけで、それらを活用して「ビジネスモデル」や「組織」「企業文化」を根本から変革し、顧客や社会に対する提供価値を高めるとともに、競争上の優位性を確立することです。「IT化」が手作業をデジタルに置き換える手段であるのに対し、DXはデジタルを前提としてビジネス全体を生まれ変わらせる目的を指します。

市場の変化が激しい現代において、従来の古いビジネスモデルやシステムのままでは他社に取り残されてしまうため、多くの企業が生き残りをかけてDXに取り組んでいます。

具体例

身近な業界におけるDXの具体的な事例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 映像・音楽業界:店舗でDVDやCDをレンタルする従来のビジネスから、データをストリーミング配信し、視聴履歴のデータをAIで分析して好みの作品を推薦する定額制サブスクリプションモデルへと事業自体を大きく変革した。
  • タクシー業界:道端でタクシーを探して乗るスタイルから、スマートフォンのGPS機能を使った配車アプリを開発し、乗客とタクシーを即座にマッチングさせ、事前決済で降車をスムーズにする新しい乗車体験を創出した。

もう少し詳しく

DX(デジタルトランスフォーメーション)という概念は、2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授が提唱した「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という思想が起源です。英語圏では「Trans」を「X」と略すため、「DX」と表記されます。ビジネスにおけるDXは、単に「紙の書類を電子化する(デジタイゼーション)」や「一部の業務プロセスをIT化する(デジタライゼーション)」の段階を超え、デジタル技術を前提としてビジネスモデルそのものを変革する「デジタルトランスフォーメーション」を目指します。

経済産業省の「DX推進ガイドライン」によると、DXを実現するためには、老朽化・複雑化した「レガシーシステム」の刷新や、部門ごとのデータの縦割りを解消することが不可欠です。また、単に新しい技術を導入するだけでなく、失敗を恐れず挑戦する組織文化への変革(マインドセットの転換)や、経営層が明確なビジョンを示す強いリーダーシップが必要となります。DXの本質は、デジタル技術を道具として使いこなし、変化し続ける顧客ニーズや激しい市場競争の中で優位性を保ち続ける経営改革にあります。

試験でのポイント

試験においてDXが問われる際は、「単なるIT化(業務効率化)とDXの違い」が頻出します。選択肢の中で「手書きの伝票入力をシステム化した」「ペーパーレス化を進めた」といったものは単なる「IT化(デジタイゼーション/デジタライゼーション)」であり、「ビジネスモデルや組織自体を変革して新たな価値を創出した」といった表現が「DX」に該当します。この目的の違い(効率化なのか、変革・新価値創造なのか)をしっかりと見極めましょう。

また、経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」についても出題されることがあります。これは、多くの企業が古い基幹システム(レガシーシステム)を刷新できない場合、2025年以降に多大な経済損失が発生し、DXも実現できなくなるというリスクを指します。DX推進に向けた課題や障壁についての問題として問われやすいため、背景知識として整理しておきましょう。

関連する用語

DXに関連する用語には、IT技術を用いた業務のデジタル化である「デジタライゼーション」や、古いシステムの刷新を怠るリスクを示す「2025年の崖」、老朽化した「レガシーシステム」があります。また、DXを支える中核技術である「AI(人工知能)」「IoT」「クラウドコンピューティング」も密接に関連する用語です。

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