SCMとは
SCM(Supply Chain Management:サプライチェーンマネジメント)とは、製品の原材料の調達から、製造、在庫管理、物流、販売、そして最終的に消費者の手元に届くまでの一連の流れ(サプライチェーン:供給の連鎖)を、情報システムを使って一元管理し、全体の効率化や最適化を図る経営手法のことです。
複数の企業や部署が関わるため、連携がうまくいかないと「工場で作った製品が売れ残って倉庫に山積みになる(過剰在庫)」あるいは「お店で欲しい人がいるのに製品が届かない(機会損失)」といった問題が発生します。SCMを導入して販売データをリアルタイムで共有することで、必要な時に、必要な量だけ生産し、届ける仕組みを作ることができます。
具体例
大手アパレル企業やコンビニチェーンでのSCMの具体例です。
- 販売データの共有:店舗のレジで服が売れた瞬間に、その情報が製造工場と倉庫へ瞬時に共有される。
- 適正な生産と発送:工場は売れ行きを見て「この赤いTシャツが売れているから、追加で1000枚作ろう」と計画し、倉庫は無駄な在庫を抱えずにすぐに店舗へ発送する。
- 配送トラックの最適化:GPSを利用して配送ルートを最適化し、ガソリン代やCO2排出量を抑えながら最短で店舗へ商品を届ける。
もう少し詳しく
SCMの主目的は、サプライチェーンにおける「情報共有の遅れ」が引き起こす「ブルウィップ効果(鞭効果)」を防止することにあります。ブルウィップ効果とは、消費者のわずかな需要の変化が、小売店、卸売業者、メーカー、原材料メーカーと遡るにつれて、伝達される情報の不確実さから余分な安全在庫を積み増してしまい、上流にいくほど需要の変動幅が増幅されてしまう現象です。これを防ぐために、サプライチェーンの各プレイヤーがPOSデータなどの「実需データ」をリアルタイムで共有し、サプライチェーン全体を同期させます。
SCMの構築には、自社内だけでなく、仕入先や物流業者、販売パートナーといった「他社」との緊密なデータ連携が欠かせません。このため、EDI(電子データ交換)などの通信規格の導入や、APIによる連携が重要になります。SCMが適切に機能すると、リードタイム(発注から納品までの時間)の短縮、在庫回転率の向上、および余剰在庫の廃棄コスト削減が達成され、企業としてのキャッシュフロー改善に大きく貢献します。
試験でのポイント
試験では、SCMの定義において「調達、製造、流通、販売までの一連のプロセスを総合的に管理し、在庫の削減やリードタイムの短縮を図る」という全体最適化のキーワードが正解の基準になります。特に、「一連の流れ(サプライチェーン)」と「情報の一元管理による効率化」が紐づいている点を確認しましょう。
また、サプライチェーン上流での過剰在庫問題を表す「ブルウィップ効果」や、取引企業間でのデータ送信技術である「EDI(電子データ交換)」といった技術・理論との関連性も頻出の論点です。類似の略語である「CRM(顧客関係管理)」や「ERP(企業資源計画)」との役割の比較も出題されやすいため、区別できるように頭を整理しておいてください。
関連する用語
SCMに関連する用語としては、企業間でデータを送受信する「EDI(電子データ交換)」や、需要予測のズレが増幅される「ブルウィップ効果」が挙げられます。また、企業資源を一元管理する「ERP」、発注から納品までの期間を示す「リードタイム」、倉庫の品出しを最適化する「WMS(倉庫管理システム)」も関連の深い用語です。