ERPの解説(基本情報技術者シラバス用語)

目次

ERPとは

ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)とは、企業が持つさまざまな経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を全社一元的に管理し、経営の効率化や迅速な意思決定を目指す経営手法、またはそれを実現するための統合型業務ソフトウェア(ERPパッケージ)のことです。

従来のシステムは、営業部用、経理部用、人事部用と別々に作られていたため、データの連携に時間がかかったり、同じデータを二重に入力したりする手間がありました。ERPを導入すると、すべての部署のデータが1つの巨大なデータベースで共有されるため、どこかでデータが更新されると、リアルタイムで全社のシステムに反映されます。

具体例

ある製造業の企業がERPを導入して業務を効率化する具体例です。

  • 営業が注文を受ける:営業担当者がシステムに「製品Aを100個受注」と入力する。
  • 自動連携:データが即座に共有され、倉庫管理システムでは「在庫の引き当て」が行われ、製造部門では「原材料の追加発注が必要か」の判断がなされ、経理部門では自動的に売掛金(将来入ってくるお金)の仕訳データが作成される。
  • 経営状況の把握:社長は会社のダッシュボード画面を開くだけで、現時点での全社の売上、在庫数、現金の残高をリアルタイムで確認し、次の出店計画などを素早く決断できる。

もう少し詳しく

ERPの最大の思想は「情報のワンファクト・ワンプレイス(一つの真実は一つの場所に)」にあります。各部門が独自にExcelや個別システムでデータを管理している状態(情報のサイロ化)を防ぎ、全社のあらゆる取引情報を単一の統合データベースに集約します。これにより、二重入力やデータの転記ミスが完全に排除され、業務処理が大幅に高速化されます。また、経営状況が「見える化」されることで、月次決算の早期化や、経営分析(BIツールとの連携)が容易になり、市場の変化に素早く対応する経営判断が可能になります。

ERPパッケージを導入するアプローチには、あらかじめパッケージ内に組み込まれている世界的なベストプラクティス(標準業務プロセス)に自社の業務手順を合わせる「業務の標準化」と、自社の独自の強みを残すためにパッケージを改造する「カスタマイズ(アドオン)」があります。かつてはカスタマイズが主流でしたが、コスト高やバージョンアップの困難さから、近年ではパッケージの機能に極力合わせる「Fit to Standard(フィット・トゥ・スタンダード)」という方針が推奨されています。また、近年は初期費用を抑えて迅速に導入できる「クラウドERP(SaaS型ERP)」の採用が急増しています。

試験でのポイント

試験では、ERPの目的である「企業の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を一元管理し、業務の効率化や経営の迅速な意思決定を支援する」という定義をしっかり把握しているかが問われます。特に「統合データベース」や「全部署のシステム連携」、「リアルタイムでの経営情報の可視化」といったキーワードが選択肢の判断基準になります。

また、自社の業務をパッケージの標準機能に合わせる「Fit to Standard」の考え方や、業務プロセスを根本から再構築する「BPR(ビジネスプロセス再構築)」を実現するためのインフラとしてERPが導入されるという論点も重要です。他のシステム(CRMやSCMなど)が「特定業務(顧客、供給網)」に特化しているのに対し、ERPは「企業全体(全社リソース)」をカバーするという適用範囲の違いを意識しておきましょう。

関連する用語

ERPに関連する用語には、ERPと連動する「BI(ビジネスインテリジェンス)」や、企業の業務フローを再構築する「BPR」があります。また、営業支援システムである「SFA」、供給網管理である「SCM」、およびパッケージの標準手順に自社業務を適合させる「Fit to Standard」も重要な関連概念です。

読んだ内容を10問練習と実技で確認

記事で理解した用語を、StudyQuestの演習とクラウド実技ラボで定着させます。

10問練習 実技ラボ