働き方改革の解説(ITパスポートシラバス用語)

働き方改革の解説(ITパスポートシラバス用語)
目次

働き方改革とは



働き方改革とは、働く人々がそれぞれの事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選べるようにするための日本政府の取り組みや社会的な動きのことです。日本が抱える「少子高齢化による深刻な人手不足」や「長時間労働(サービス残業)の常態化」といった構造的な課題を解決し、労働生産性を向上させるために推進されています。

具体的な取り組みとしては、主に以下の3つの柱があります。1つ目は「長時間労働の是正」で、法律によって残業時間の上限を厳格に規制し、罰則を設けることです。2つ目は「多様で柔軟な働き方の実現」で、テレワーク(在宅勤務)やフレックスタイム制、副業・兼業の促進などが挙げられます。3つ目は「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」で、正規雇用(正社員)と非正規雇用(パートや派遣社員など)の間にある不合理な待遇の差をなくす「同一労働同一賃金」の導入です。

具体例

例えば、これまでは毎日決まった時間にオフィスへ出社し、遅くまで残業するのが当たり前だった会社が、働き方改革を取り入れたとします。週に数日は自宅で仕事ができる「テレワーク」制度を導入し、さらに残業は月20時間までと社内ルールを徹底しました。これにより、小さな子供の育児や親の介護をしている従業員も仕事を辞めずに続けられるようになり、会社全体としても無駄な残業が減って効率よく仕事が進むようになります。結果として、従業員の満足度が上がり、離職を防ぐことにつながります。

もう少し詳しく

働き方改革の法的な基盤となっているのが、2018年に成立し2019年4月から順次施行された「働き方改革関連法(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」です。この法律によって、労働基準法、労働安全衛生法、パートタイム・有期雇用労働法など、多くの主要な労働関連法律が一括して改正されました。

この改革の背後には、日本の深刻な構造的問題である「労働力不足」があります。多様な働き方を許容することで、これまで育児や介護、あるいは健康上の理由などからフルタイムで働けなかった人々(女性、高齢者、障害者など)の就業を促し、労働人口を確保することが重要な目標となっています。

また、この改革を物理的に支えているのが「IT技術(デジタルトランスフォーメーション:DX)」の進歩です。例えば、Web会議システムやチャットツールの導入によって実現する「テレワーク」、RPA(ロボットによる業務自動化)やAIを活用した定型業務の効率化、クラウド勤怠管理システムによる厳格な実労働時間の把握などは、すべてITの力によるものです。しかし、単に労働時間を一律に削減するだけでは、現場の業務が滞る「ジタハラ(時短ハラスメント)」や、隠れ残業、持ち帰り残業といった問題が生じる恐れがあります。そのため、本質的な業務プロセスの見直し(BPR)や、付加価値の高い仕事へシフトするための生産性向上の取り組みが企業には求められています。

試験でのポイント

ITパスポート試験のストラテジ系(企業活動、労働関連法規)において、現代のビジネス環境や社会構造の変化を象徴する重要テーマとして頻出します。

試験対策のポイントは、働き方改革の主要な3つの柱(「長時間労働の是正」「柔軟な働き方の実現」「同一労働同一賃金」)の目的や概念を正しく理解し、それに対応する制度を識別できるようにすることです。例えば、「パートタイム労働者であることのみを理由として、基本給や賞与などの待遇に不合理な差を設けることを禁止する原則」は「同一労働同一賃金」に該当します。また、「情報通信技術(ICT)を利用し、時間や場所にとらわれずに働く形態」を指す「テレワーク」の定義も繰り返し出題されます。

さらに、法的な内容として、労働基準法で定められた「時間外労働(残業)の上限規制」や、「年5日の年次有給休暇の取得義務化」といった具体的な義務規定が問われることもあるため、これらのポイントも忘れずに整理しておきましょう。

関連する用語

働き方改革に関連する用語には、場所を選ばない働き方を実現する「テレワーク」、正規・非正規雇用間の不合理な待遇格差を解消する「同一労働同一賃金」、労働条件の最低基準を定める「労働基準法」、そして業務プロセスを根本から再構築して生産性を高める「BPR(業務プロセス再設計)」があります。

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