PPMの解説(ITパスポートシラバス用語)

目次

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)とは

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)は、企業が複数の事業や製品を持っている場合、限られたお金や人材(経営資源)をどの事業にどれだけ割り振るかを判断するための分析手法です。市場の「成長率」(その市場がどれくらい伸びているか)と、自社の「相対的市場占有率」(その市場の中で自社がどれくらいシェアを持っているか)の2つの軸を使って、事業を以下の4つのグループに分類します。

1. 花形(スター):成長率が高く、シェアも高い。お金がかかるが利益も大きい。将来の主力。
2. 金のなる木(キャッシュカウ):成長率は低いが、シェアは高い。少ない投資で安定した利益を生むため、ここから得たお金を他の事業へ回す。
3. 問題児(クエスチョンマーク):成長率は高いが、シェアは低い。たくさんのお金をつぎ込んでシェアを上げれば「花形」になるかもしれないが、失敗するリスクもある。
4. 負け犬(ドッグ):成長率も低く、シェアも低い。利益が出にくいため、撤退(やめること)を検討すべき事業。

具体例

総合電機メーカーが自社の事業を分析するとします。「パソコン事業」はすでに市場が成長しておらず、自社のシェアも低い場合は「負け犬」として事業売却を検討します。「白物家電事業」は成長は横ばいですが自社のシェアが非常に高く、安定して利益が出ているため「金のなる木」となります。そして、ここで稼いだ利益を、市場が急拡大しているがまだシェアが低いAI関連の新規事業(問題児)に投資し、「花形」へと育て上げる、といった戦略を立てます。

もう少し詳しく

PPMは、1970年代に世界的な経営コンサルティングファームであるボストン・コンサルティング・グループ(BCG)によって開発された、事業ポートフォリオ管理の金字塔となる手法です。この分析の目的は、企業全体の経営資源を効率的に配分し、中長期的な生存と成長を担保する「資金循環モデル」を構築することにあります。

PPMの戦略の本質は、以下のサイクルを回すことにあります。

1. 金のなる木で得られた豊富なキャッシュ(現金)を、
2. 将来の有望な事業である問題児へ集中投資し、自社の市場シェアを高めて花形へと育成する。
3. 花形は、市場がやがて成熟期を迎えて「成長率」が低下すると、自ずと莫大な現金を稼ぐ次の金のなる木へと変化する。
4. 負け犬に対しては、さらなる投資を停止し、事業の売却や段階的な撤退、あるいは製品数を極限まで減らして利益だけを回収する(ハーベスト戦略)を行う。

このように、単独の事業の損益だけを見るのではなく、企業全体の製品群のバランスをとることが重要です。しかし、PPMにも批判はあります。例えば、事業同士の相乗効果(シナジー)を考慮に入れていないため、「負け犬」と判定された部品事業を撤退させた結果、他の「金のなる木」の完成品事業の品質や信頼性が低下するといった悪影響が生じることがあります。そのため、現代の意思決定では事業間の連携性も加味した評価が行われます。

試験でのポイント

ITパスポート試験のストラテジ系(経営戦略マネジメント)において、SWOT分析と並んで出題されやすい最重要の戦略分析ツールです。

試験対策としては、以下の2点を完璧に頭に入れておく必要があります。
1. 2つの軸の名称:マトリックスの縦軸が「市場成長率」、横軸が「相対的市場シェア(占有率)」であること。この2軸を入れ替えたひっかけの記述に注意しましょう。
2. 各象限の特徴と対策
金のなる木:市場成長率は「低い」が、シェアは「高い」。新規の投資はほとんど不要で、他事業の「資金源」となる最重要象限です。
問題児:市場成長率は「高い」が、シェアは「低い」。成長のために最も「多額の追加資金」を必要とする象限です。
負け犬:成長率・シェアともに「低い」。対策は「早期の撤退・縮小」です。
花形:成長率・シェアともに「高い」。本業で稼いでいるものの、競争が激しいため設備投資などの出費も多く、キャッシュの収支は±ゼロ付近になりがちです。

「どの象限から得た資金を、どの象限に再投資して、どこへ成長させるべきか」というストーリーを正しく選べるようにしておきましょう。

関連する用語

PPMに関連する用語には、PPMを開発した「ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)」、事業の整理や売却を指す「ディベストメント(投資回収・事業撤退)」、自社と市場の相性から製品展開を分析する「アンゾフの成長マトリックス」、そして自社の強みを活かした独自の経営資源集中を図る「コアコンピタンス」があります。

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