M&Aとは

M&A(エムアンドエー)は、「Mergers and Acquisitions」の略で、日本語では「企業の合併と買収」という意味です。複数の会社が1つの会社にくっつくこと(合併)や、ある会社が別の会社を買い取ること(買収)を指します。企業がM&Aを行う目的は様々ですが、代表的なものとして「新しい事業を素早く始めるため(時間を買う)」「お互いの強みを組み合わせて大きな効果(シナジー効果)を生み出すため」「ライバルを減らして市場でのシェアを拡大するため」などがあります。ゼロから自社で新しい技術や顧客を開拓するよりも、すでにそれらを持っている会社と一緒になる方が、スピーディーに会社を成長させることができるという大きなメリットがあります。
具体例
スマートフォン向けのゲーム開発をしているA社が、急速に成長しているAI(人工知能)の分野に進出したいと考えたとします。自社でAIエンジニアを雇い、一から技術を開発するには何年もかかります。そこでA社は、すでに高度なAI技術と優秀なエンジニアを抱えている小さなベンチャー企業B社を「買収(M&A)」しました。これにより、A社は時間をかけずに最先端のAI技術を手に入れ、自社のゲームにAIを組み込んだ新しいサービスをすぐに立ち上げることができました。
もう少し詳しく
M&Aは、大きく「合併(Merger)」と「買収(Acquisition)」の2つの行為から成り立っており、経営権や事業用資産の移転を伴います。
・合併:複数の会社を1つの法人のみに統合する手法です。すべての関係会社が消滅して新会社を設立する「新設合併」と、1社のみが存続して他社を飲み込み権利義務を引き継ぐ「吸収合併」があります。
・買収:他社の「株式(議決権)」の過半数を取得して子会社化したり、特定の「事業部門(営業権・資産)」のみを買い取ったり(事業譲渡)する手法です。支配権や事業のみを切り取れるため、実務上は買収の方が多く活用されます。
M&Aを行う動機は、競争力向上や経営効率化にあります。代表的な効果に「シナジー効果(相乗効果)」があり、お互いのリソースを組み合わせることで、単体で活動していたときの合計を超える成果(1+1>2)を目指します。これには、販売網の相互利用による「売上シナジー」や、人事・総務といった間接部門の統合、仕入れボリューム拡大による「コストシナジー」があります。
しかし、M&Aは実行後の統合プロセスである「PMI(Post Merger Integration)」が非常に難しく、失敗のリスクも孕んでいます。異なる企業文化や人事・評価制度、業務ルール、ITシステムなどを丁寧に擦り合わせ、融合させていかなければ、買収された側の優秀なエンジニアの流出や、現場の混乱を招き、期待した効果(シナジー)が得られずに多額の損失(のれんの減損)を計上するリスクがあります。そのため、M&Aでは事前の調査(デューデリジェンス)から統合後のフォローまで一貫した計画が必須です。

試験でのポイント
ITパスポート試験のストラテジ系(経営戦略マネジメント)において、企業買収や提携手法に関する基礎問題として頻繁に出題されます。
試験対策の重要ポイントは、M&Aの定義と「新規事業の立ち上げ時間を短縮できる(時間を買う)」という経営上のメリット、および関連する以下のような専門用語との違いを整理しておくことです。
1. TOB(Take Over Bid:株式公開買付):買収対象企業の株式を買い取るために、価格、期間、株数を公表し、証券市場を通さずに株主から直接株式を買い取る手法です。敵対的買収の手段や、子会社を完全子会社化する際などに用いられます。
2. MBO(Management Buyout:マネジメント・バイアウト):会社の「経営陣」が、親会社や株主から自社の株式を買い取り、経営権を自ら取得する手法です。上場を廃止して中長期的な視点で迅速な意思決定を行うためや、事業承継の際に行われます。
3. LBO(Leveraged Buyout):買収先の資産や将来のキャッシュフローを担保にして、借り入れた資金(借金)を元手に買収を行う手法です。
これらの用語の「誰が」「どのようにして」買収を行うのかという違いについて、選択肢から正確に選べるように識別力を身につけておきましょう。
関連する用語
M&Aに関連する経営用語には、一般の株主から市場外で株式を買い付ける「TOB(株式公開買付)」、経営陣が自社の株式を買い取って独立する「MBO」、M&A後に組織やシステムを統合するプロセスである「PMI」、そして経営資源を組み合わせることで発揮される「シナジー効果(相乗効果)」があります。
