損益分岐点とは
損益分岐点(そんえきぶんきてん)とは、企業の売上高と費用がちょうど等しくなり、利益がプラスマイナスゼロになるポイント(売上高や販売数量)のことです。
企業は商品を作るために材料費がかかったり、従業員に給料を払ったりと様々な「費用」がかかります。売上が少ないうちは費用の方が大きくて赤字ですが、売上が増えていくと、ある時点で利益がゼロになり、そこから先は黒字に変わります。この「赤字と黒字の分かれ目」が損益分岐点です。企業が利益を出すためには、最低でも損益分岐点を超える売上を達成する必要があります。
具体例
例えば、あなたが1杯100円のレモネード屋さんを始めたとします。レモンなどの材料費(1杯あたり50円)のほかに、看板代などで最初に500円かかったとします。この場合、10杯売ると売上は1000円、費用も1000円(材料費50円×10杯+看板代500円)となり、利益はゼロになります。つまり、このレモネード屋の損益分岐点は「10杯(売上1000円)」です。11杯目からは利益が出るようになります。
もう少し詳しく
損益分岐点を正しく算出・分析するためには、企業活動で発生する費用を「変動費」と「固定費」の2つに分類して捉える必要があります。これを管理会計の分野で「CVP分析(Cost-Volume-Profit:費用・操業度・利益分析)」と呼びます。
・変動費:売上高や生産量に比例して増減する費用のことです。具体的には、商品の仕入原価、原材料費、梱包材費、配送費、販売手数料などが該当します。売上がゼロであれば、変動費もゼロになります。
・固定費:売上高や操業度に関わらず、期間中常に一定額が発生する費用のことです。具体的には、店舗やオフィスの家賃、正社員の給与(人件費)、工場の機械の減価償却費、広告宣伝費、サーバーの基本保守料などが含まれます。売上が全くなくても、固定費は毎月必ず支払わなければなりません。
損益分岐点売上高は、以下の数式で求めることができます。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ { 1 - ( 変動費 ÷ 売上高 ) }
ここで、分母の「1 - (変動費 ÷ 売上高)」は「限界利益率」とも呼ばれます。限界利益とは、売上高から変動費だけを差し引いた利益(売上総利益に近い概念)のことで、ここから固定費を回収していきます。限界利益が固定費をちょうど全額回収できた状態が損益分岐点であり、限界利益が固定費を上回った分が企業の純粋な「利益」になります。企業は損益分岐点を下げる(=より少ない売上で黒字にする)ために、オフィスの移転やデジタル化による固定費の削減、仕入先交渉による変動費率の抑制などを図ります。
試験でのポイント
ITパスポート試験のストラテジ系(企業活動、会計・財務)において、最も高頻度で計算問題が出題される超重要テーマです。
試験対策としては、まず「変動費」と「固定費」の定義を問う問題に対応できるようにし、さらに与えられた数値から「損益分岐点売上高」や「目標利益を達成するための必要売上高」を計算できるようにしておくことが必須です。計算問題を解く際は、以下の2ステップの考え方が便利です。
1. 1個あたりの限界利益を求める(販売単価 - 1個あたりの変動費)。レモネードの例なら「100円 - 50円 = 50円」です。
2. 固定費を1個あたりの限界利益で割り、損益分岐点となる販売数量を求める。「固定費500円 ÷ 50円 = 10杯」。これに単価100円をかければ、損益分岐点売上高「1000円」が出ます。
また、現在の売上高が損益分岐点からどれだけ離れていて安全か(赤字転落リスクの低さ)を示す「安全余裕度」という指標( (現在の売上高 - 損益分岐点売上高) ÷ 現在の売上高 × 100 % )も出題されますので、公式を合わせてマスターしておきましょう。
関連する用語
損益分岐点の分析を支える用語には、売上に連動して発生する「変動費」、売上に関わらず常に発生し続ける「固定費」、売上から変動費を引いた「限界利益」、そして事業の安全性の余力を評価する「安全余裕度」があります。