行列の解説(基本情報技術者シラバス用語)

目次

行列とは

行列(ぎょうれつ)とは、複数の数値を縦(行:ぎょう)と横(列:れつ)に格子状に並べて、括弧で囲んでひとまとめにしたものです。数学や物理のツールですが、コンピュータの世界、特に3DグラフィックスやAI(ディープラーニング)の処理において極めて重要な役割を果たしています。コンピュータは、たくさんの点や数値を一度にまとめて計算するのが得意です。行列を使うと、何万個もの座標データに対して「回転させる」「拡大する」「移動する」といった複雑な一連の計算を、たった1つのシンプルな数式の掛け算としてまとめて一瞬で処理させることができます。スマホのカメラアプリのフィルター処理や3Dゲームが滑らかに動くのも、この行列計算のおかげです。

具体例

2行2列の簡単な行列のイメージと、これを使って画面上のキャラクターの座標(2次元)を移動させる例です。

行列の見た目:
[ 2,  0 ]
[ 0,  2 ]  (これは「すべてを2倍に拡大する」効果を持つ行列です)

キャラクターの元の位置 [ x, y ] = [ 3, 5 ] に対し、
この行列を掛け合わせることで、瞬時に新しい位置
[ 6, 10 ] (2倍に拡大された座標)を計算することができます。

もう少し詳しく

行列は、線形代数学における中核的な概念であり、ベクトルの「一次変換(回転、拡大縮小、せん断など)」を行列同士の積として美しく表現することができます。コンピュータグラフィックスの分野では、対象物の平行移動や回転などの複雑な空間的な変化を、「同次座標系」と呼ばれる仕組みと4×4の変換行列を組み合わせて処理しています。また、現代のAI(ディープラーニング)技術においては、ニューラルネットワークの各層における膨大なパラメータ(重み付け)の計算が、巨大な行列とベクトルの掛け算として定式化されています。この計算プロセスにおいて、CPUよりも単純な行列演算の超並列処理に特化したGPU(グラフィックス処理装置)が圧倒的な性能を発揮するため、今日のAIの急速な発展には行列計算とGPUの進化が密接に関わっています。

試験でのポイント

基本情報技術者試験の数学分野として、簡単な2×2行列などの「行列の加算」や「行列の乗算」のルールを問う計算問題が出題されることがあります。行列の積(掛け算)は、左側の行列の「行」と右側の行列の「列」の内積をとるという独特の計算手順があるため、実際に手を動かして計算できるようにしておくことが必須です。また、「行列の掛け算は順番を変えると結果が変わる(交換法則が成り立たない)」という重要な性質についても知識として問われることがあります。近年では、AI技術に関連する基礎知識として、GPUがなぜ機械学習に向いているのかという文脈で行列演算が登場することもあります。

関連する用語

ベクトル、GPU、アフィン変換

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