シャノンの定理とは
シャノンの定理(しゃのんのていり)とは、通信回線の性能やノイズの多さに応じて、「その回線を使って、どれだけのデータを誤りなく送ることができるか」という限界値(最大通信速度)を数学的に証明した定理です。「通信路符号化定理」とも呼ばれます。どれほど優れた技術を使っても、ノイズ(雑音)が存在する回線においては、この定理が示す限界のスピード(通信容量)を超えてデータを完璧に送ることはできません。現代のインターネット回線や光ファイバー、5Gなどのモバイル通信において、ノイズに負けない最適な通信速度の設計や、エラーを防ぐための仕組みを作る際の最も重要な物理的・数学的な道しるべとなっています。
具体例
日常の会話に例えてシャノンの定理の考え方を説明します。
【静かな部屋での会話】
ノイズがほとんど無いため、早口(高速な通信)で話しても、相手は内容を正しく聞き取れます。
【騒がしい居酒屋での会話】
周囲の雑音(ノイズ)が大きいため、早口で話すと聞き取れません。聞き間違いを防ぐためには、
声を大きくし、一言ずつゆっくり(低速な通信)話す必要があります。
シャノンの定理は、この「ノイズの大きさ」と「正確に伝わる限界スピード」の関係を数式で厳密に示したものです。
もう少し詳しく
情報理論の父と呼ばれるクロード・シャノンが1948年の論文で発表したこの定理は、通信路容量の公式「C = W log2(1 + S/N)」として知られています。ここで、Cは通信路容量(1秒間に送れる最大ビット数)、Wは周波数帯域幅(通信に使える道路の幅のようなもの)、Sは信号電力(声の大きさ)、Nは雑音電力(周囲のうるささ)を表します。この数式が意味するのは、「通信速度を上げるためには、帯域幅を広げるか、ノイズに対する信号の強さ(S/N比)を上げるしかない」ということです。逆に言えば、どんなに強力なエラー訂正技術を開発しても、この公式で計算された容量 C を超える速度でエラー無しに通信することは物理的に不可能であるという、超えられない壁を証明した点に偉大な価値があります。
試験でのポイント
試験において、シャノンの定理の複雑な数式の計算そのものが問われることは稀ですが、「通信路の帯域幅(周波数帯域)」と「S/N比(信号対雑音比)」が通信路容量を決定づける2大要素であるという概念は必ず押さえておきましょう。問題文に「ノイズのある通信路において、誤りなく通信できる最大の情報伝送速度に関する定理」とあれば、シャノンの定理を指しています。また、通信路符号化(エラーを訂正して正しく通信する技術)の限界に関する定理であるため、データの圧縮限界を示す「情報源符号化定理」と混同しないように注意が必要です。両者ともにシャノンが提唱したものですが、役割が異なります。
関連する用語
通信品質を評価する上で重要なS/N比、単位時間あたりに通信できるデータ量を表す通信路容量、データの圧縮限界に関する情報源符号化定理などが関連します。