CRMの解説(基本情報技術者シラバス用語)

目次

CRMとは

CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)とは,顧客一人ひとりの情報(名前、年齢、購入履歴、問い合わせ内容など)をデータベースに記録・管理し、それぞれの顧客に最適な対応を行うことで、顧客との良好な関係を長期間にわたって維持し、自社のファン(リピーター)になってもらうための経営手法、またはそれを実現するための情報システムのことです。

新規顧客を獲得するには多くのコストがかかるため、一度買ってくれた顧客に満足してもらい、何度も購入してもらうことが企業の利益向上には欠かせません。CRMを利用することで、顧客全員に同じ宣伝をするのではなく、「この人は以前これを買ったから、次はこれがおすすめ」といったパーソナライズされた提案が可能になります。

具体例

美容院やコスメのオンラインショップにおけるCRMの活用事例です。

  • 顧客が来店・購入した日、シャンプーの好み、敏感肌などの特徴をシステムに記録しておく。
  • 前回の購入からちょうど2か月が経過した顧客に対して、自動的に「そろそろシャンプーがなくなりそうではありませんか?今なら10%オフです」というメールを送信する。
  • 顧客がカスタマーセンターに電話してきた際、オペレーターの画面に過去の購入履歴と「前回届いた商品に傷があった」というメモが瞬時に表示され、「先日はご迷惑をおかけしました」と一歩踏み込んだ丁寧な対応を行う。

もう少し詳しく

CRMの根底には、「新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかる」という「1:5の法則」や、「顧客の維持率が5%向上すれば、利益は25%改善する」という「5:25の法則」などのマーケティング理論があります。少子高齢化によって日本の市場規模が縮小する中、限られた市場で売上を最大化するためには、新規顧客の開拓(狩猟型)だけでなく、すでに自社を知っている既存顧客との関係性を長く深めていく「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」の向上(農耕型)が極めて重要になっています。

CRMシステムは、営業部門(SFA: Sales Force Automation)やカスタマーサポート部門、マーケティング部門とリアルタイムでデータを共有します。これにより、どこの部署の誰が対応しても、その顧客の全体像(プロファイル)を把握した上で、一貫した対応が可能になります。また、集積した顧客データをAIやBIツールで分析することで、解約しそうな顧客の予兆を検知したり、次に売れそうな商品の傾向を掴んだりする高度なデータマーケティング(One to Oneマーケティング)の実践も可能となります。

試験でのポイント

試験においてCRMが問われる際は、「顧客情報を一元管理することで、顧客一人ひとりに合わせた関係構築を行い、顧客満足度やLTV(顧客生涯価値)を最大化する」という定義を正しく選択できる必要があります。特に「LTV(顧客生涯価値)」や「顧客満足度の向上」というキーワードがCRMの目的として直結している点が頻出です。

また、他の経営管理システムとの違いについても区別が求められます。例えば、営業活動の効率化に特化した「SFA」や、製品のサプライチェーン全体を管理する「SCM」、企業資源を一元管理する「ERP」などの略語と混同しないよう、それぞれの対象領域を整理しておきましょう。CRMは「顧客との関係(接点)」が中心です。

関連する用語

CRMに関連する用語としては、顧客が一生の間に自社にもたらす利益を示す「LTV(顧客生涯価値)」や、営業支援システムである「SFA」、企業資源計画である「ERP」があります。また、顧客一人ひとりのニーズに合わせた宣伝を行う「One to Oneマーケティング」や、データを多角的に分析する「BI(ビジネスインテリジェンス)ツール」も関連性の高い概念です。

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