バランススコアカード(Balanced Scorecard / BSC)とは
バランススコアカード(BSC)とは、企業の業績を単に「売上」や「利益」といった財務的な指標だけでなく、複数の異なる視点から総合的に評価し、具体的な戦略を立てるための経営管理手法です。以下の4つの視点からバランスよく目標を設定します。
- 財務の視点:株主や投資家から見て、どのような業績を達成すべきか。
- 顧客の視点:顧客満足度を高め、競合に勝つためにどうすべきか。
- 業務プロセスの視点:社内のどの業務効率や品質を改善すべきか。
- 学習と成長の視点:従業員のスキルアップや組織全体の変革をどう進めるか。
具体例
あるレストランがバランススコアカードを導入して設定する目標の具体例です。
・学習と成長:全スタッフに対して「接客マナー研修」を実施する。
・業務プロセス:調理スピードを改善し、料理の提供時間を平均5分短縮する。
・顧客の視点:アンケートでの「接客・サービス満足度」を90%以上にする。
・財務の視点:リピーター客を増やし、全体の売上を前年比10%増加させる。
このように、従業員の学びが業務の改善につながり、それが顧客満足を呼び、最終的に売上向上という財務的な成果につながるという「因果関係」を可視化できます。
もう少し詳しく
バランススコアカード(BSC)は、1992年にロバート・S・キャプランとデビッド・P・ノートンによって提唱された経営手法です。従来の経営評価は主に過去の財務データ(売上や利益)に基づいて行われていましたが、それだけでは将来の成長性や組織の見えない強みを測ることができないという問題がありました。そこで、未来への投資となる「学習と成長」、それを実現するための「業務プロセス」、その結果得られる「顧客」の評価、そして最終的な「財務」の成果という4つの視点を連鎖させることで、戦略を具体的な行動レベルに落とし込むことができるようになりました。BSC의導入メリットは、経営戦略が全従業員にとって分かりやすい目標に翻訳され、一人ひとりが自分の仕事と会社の目標との結びつきを意識できるようになる点です。さらに、各視点の目標達成度を測るための具体的な数値指標(KPI)を連動させることで、戦略の実行状況を客観的にモニタリングすることが可能になります。一方で、目標や指標の設定が複雑になりすぎると、管理のための管理になってしまう(形骸化する)リスクがあるため、現場の負担にならないようシンプルに設計することが重要です。
試験でのポイント
ITパスポートなどの情報処理技術者試験では、バランススコアカードを構成する「4つの視点」の名称とその内容が非常によく出題されます。設問の記述が「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」のどれに該当するかを正しく判定できるかがカギとなります。例えば、「製品の不良品率を下げる」は業務プロセスの視点、「従業員に新たなITスキルを習得させる」は学習と成長の視点に分類されます。特に、「顧客の視点」と「業務プロセスの視点」が混同されやすいので注意しましょう。顧客の視点は「顧客がどう感じるか(顧客満足度やクレーム件数など)」であり、業務プロセスの視点は「社内の業務がどう改善されたか(製造リードタイムの短縮や歩留まりの向上など)」を指します。また、KPI(重要業績評価指標)やKGI(重要目標達成指標)といった用語と関連付けて、BSCを実践するための具体的な管理指標として出題されることも多いです。
関連する用語
バランススコアカードを理解する上で関連する用語として、「KPI(重要業績評価指標)」と「KGI(重要目標達成指標)」があります。BSCで設定した戦略を達成するために最終的な目標値として設定されるのがKGIであり、その過程の進捗状況を測るための中間指標がKPIです。また、「SWOT分析」を用いて自社の強みや弱みを分析した後に、その結果を具体的な戦略に落とし込むツールとしてBSCが活用されることも多いため、戦略策定のプロセスとしてあわせて覚えておくと良いでしょう。