CRM(Customer Relationship Management / 顧客関係管理)とは
CRM(顧客関係管理)とは、顧客一人ひとりの情報や過去のやり取り(購買履歴、問い合わせ内容、アンケート結果など)をデータベースで一元管理し、それぞれに最適な対応を行うことで、長期的な信頼関係を築き、顧客の満足度を高める手法やそのシステムの総称です。「新規顧客を増やすこと」と同じくらい「既存顧客にファンになってもらい、繰り返し利用してもらうこと」を重視します。
具体例
アパレルブランドや化粧品メーカーにおけるCRMの活用事例です。
- 購入履歴に合わせたアプローチ:1ヶ月前に「化粧水」を購入した顧客に対して、「そろそろ使い切る頃ではありませんか?」と、買い替えを提案するメールを自動で配信します。
- 購入金額に応じたランクアップ制度:年間購入額が多い顧客を「VIP会員」として優遇し、先行セールへの招待や限定特典を提供することで、他社への乗り換えを防ぎます。
このように、すべての顧客に一律の対応をするのではなく、一人ひとりの状況に合わせたケアを行うことで、リピート率(再購入率)を向上させます。
もう少し詳しく
CRMがビジネスにおいて非常に重要視されるようになった背景には、市場の成熟と競争の激化があります。かつてのモノが不足していた時代は、良い製品を大量に作って広く宣伝すれば売れる「マスマーケティング」が主流でした。しかし、現代のようにモノが溢れ、消費者のニーズが多様化した市場では、新規顧客を獲得するコストが、既存の顧客を維持するコストの数倍にも跳ね上がると言われています(「1:5の法則」とも呼ばれます)。
そのため、企業は「いかにして既存の顧客に自社を好きになってもらい、長く付き合っていくか」というLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化する戦略へとシフトしました。CRMシステムを導入することで、顧客の氏名や連絡先といった基本情報だけでなく、いつ、何を、どれくらい買ったか、過去にどのような問い合わせやクレームがあったか、最近いつ来店したかといった詳細な履歴を全社で一元的に共有・管理できます。
これにより、例えばコールセンターに電話がかかってきた際、オペレーターは瞬時にその顧客の過去の購入履歴やトラブル対応履歴を画面で確認しながら、「前回ご購入いただいた商品の使い心地はいかがですか?」と、まるで専属担当者のようなきめ細やかな対応が可能になります。また、誕生日月には特別な割引クーポンを送ったり、特定の趣味を持つ顧客だけに絞ってイベントの案内を送ったりと、データを活用した効果的なマーケティング施策を実行できます。CRMは単なるITシステムやソフトウェアの名称ではなく、「顧客中心のビジネスを展開する」という経営上の考え方そのものであり、顧客満足度(CS)の向上と企業の持続的な成長を両立させるための要となります。最近では、AI(人工知能)を組み合わせて、顧客の次の購買行動を予測する高度なCRMも登場しています。
試験でのポイント
ITパスポート試験などにおいて、CRMは経営戦略やマーケティングに関連する問題として頻繁に出題されます。最も重要なポイントは、「顧客関係の構築・維持」や「顧客満足度の向上」「顧客のデータベース化と個別の対応」といったキーワードとCRMを結びつけて記憶しておくことです。
試験では、他のアルファベット3文字の用語(ERP、SCM、SFAなど)と選択肢で並べられ、説明文から正しい用語を選ばせる形式が定番です。特に間違いやすいのが「SFA(営業支援システム)」との違いです。SFAは、営業担当者の日々の活動(商談の進捗状況、訪問履歴、売上見込みなど)を営業部門全体の効率を上げることを主目的としています。一方、CRMは営業だけでなく、マーケティング、カスタマーサポートなど企業全体で顧客の情報を共有し、顧客との良好な関係を長く続けることに焦点を当てています。(実際にはCRMのシステムの一部としてSFAの機能が含まれていることも多いですが、試験上は役割の違いを明確にしておきましょう。)また、CRMの目的として「LTV(顧客生涯価値)の最大化」という言葉が問われることも多いので、セットで覚えておくと得点源になります。
関連する用語
関連する用語として、「LTV(顧客生涯価値)」、「SFA(営業支援システム)」、「ERP(企業資源計画)」などがあります。LTVは、ある顧客が一生涯(企業と取引を継続する期間)を通じて、企業にどれだけの利益をもたらすかを示す指標です。SFAは、営業活動の進捗や顧客とのやり取りを記録・共有し、営業部門の生産性を向上させるシステムです。ERPは、企業の持つ経営資源(人・モノ・カネ・情報)を統合的に管理し、経営の効率化を図る手法やシステム全体を指す言葉です。