SCM(Supply Chain Management / サプライチェーンマネジメント)とは
SCM(サプライチェーンマネジメント)とは、製品の原材料の調達から、製造、在庫管理、物流(輸送)、そして最終的に消費者に届くまでの全てのプロセス(供給の鎖=サプライチェーン)を、複数の企業や部門の垣根を越えて一元管理し、全体を最適化する手法です。情報(売れ行きや在庫の状況)をリアルタイムで共有することで、「作りすぎて在庫が余る」「在庫が足りなくて売り切れてしまう」といった無駄を最小限に抑えます。
具体例
飲料メーカーとコンビニエンスストアが連携したSCMの具体例です。
1. 店舗のPOSデータから、あるお茶の売れ行きが急増していることを検知する。
2. その情報が飲料メーカーの製造工場に即座に共有され、増産計画が立てられる。
3. 原材料を扱う農家へも速やかに茶葉の出荷要請が行われる。
4. トラックの配送ルートが最適化され、欠品を起こすことなく店舗に冷たいお茶が届けられる。
この一連の流れをスムーズに行うことで、無駄な在庫コストを削減し、販売機会の損失を防ぎます。
もう少し詳しく
SCMは、グローバル化が進み、製品のライフサイクルが短くなった現代のビジネス環境において、企業が生き残るための不可欠な戦略となっています。サプライチェーンとは、部品の調達から製造、配送、販売を経て、最終的に消費者の手に商品が届くまでの「供給の連鎖」全体を指します。
かつては、メーカーはメーカー、卸売業者は卸売業者、小売店は小売店と、それぞれが自分たちの利益や効率だけを考えて在庫を持ち、個別に計画を立てていました。しかし、この状態では「情報が途切れる」という問題が発生します。小売店で商品が急に売れなくなっているのに、それに気づいていないメーカーが大量に生産し続けてしまい、結果として山のような不良在庫(売れ残り)を抱えることになったり、逆に大ヒットしているのに部品の調達が間に合わず、販売のチャンスを逃してしまったり(機会損失)といった事態が起こります。
これを解決するのがSCMです。ITを活用して、サプライチェーンを構成する全ての企業や部門が、まるで一つの会社であるかのように、販売データ、在庫データ、生産計画などをリアルタイムで共有し、連携して動きます。これにより、「売れた分だけ作り、必要な分だけ運ぶ」という究極の効率化を目指すことができます。SCMがうまく機能すれば、在庫を抱えるコスト(保管料や廃棄ロス)を大幅に削減できるだけでなく、注文から納品までの時間(リードタイム)を短縮し、結果として顧客の満足度を高めることにもつながります。また、近年では環境問題への配慮(CO2排出量の削減など)や、自然災害・感染症の拡大といった予期せぬリスクに対して、いかにサプライチェーンを維持・復旧させるか(サプライチェーンの強靭化)という観点からもSCMの重要性が再認識されています。
試験でのポイント
IT試験において、SCMに関する問題は「全体最適化」や「供給連鎖」「在庫の削減」「リードタイムの短縮」「情報共有」といったキーワードが正解の決め手となります。特に、「部品の調達から販売までの一連のプロセスを統合的に管理する」という説明文が出たら、迷わずSCMを選べるようにしておきましょう。
試験対策として注意すべきは、他のアルファベット略語との混同です。例えば、企業内部の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を統合的に管理する「ERP(企業資源計画)」や、顧客との関係を管理する「CRM」と一緒に選択肢に並べられることがよくあります。SCMは「社外の取引先(部品メーカーや配送業者など)も含めた全体のモノの流れ」を最適化することに主眼を置いている点が、社内最適化を中心とするERPとの違いです(現代のERPにはSCMの機能が組み込まれていることもありますが、基礎知識としては分けて考えます)。また、小売店のPOS(販売時点情報管理)システムで得られたデータが、どのようにSCMの中で活用されるかといった、具体的なデータの流れをイメージできるようになっておくと、応用問題にも対応しやすくなります。
関連する用語
関連する用語として、「ERP(企業資源計画)」、「POSシステム」、「リードタイム」などが挙げられます。ERPは、企業のあらゆる業務(会計、人事、生産、販売など)のデータを統合的に管理し、経営資源の配分を最適化するシステムです。POSシステムは、スーパーのレジなどで商品の販売情報をリアルタイムに記録・集計する仕組みであり、SCMにおいて「今何が売れているか」を把握するための重要な情報源となります。リードタイムは、商品の発注から納品されるまで、あるいは企画から製品化されるまでにかかる時間のことを指します。