バランススコアカードの解説(基本情報技術者シラバス用語)

目次

バランススコアカード(BSC)とは

バランススコアカード(BSC:Balanced Scorecard)とは、企業の業績を評価する際に、売上や利益といった「財務」の視点だけでなく、財務目標を達成するための非財務的な要素も含めた4つの視点から、バランスよく総合的に業績を評価・管理する手法のことです。

BSCでは、企業のビジョンや戦略を以下の4つの視点に分解し、それぞれの具体的なアクションプランや数値目標を設定します。

  • 財務の視点:株主に対してどのように見えるか(売上、利益率など)。
  • 顧客の視点:顧客に対してどのように見えるか(顧客満足度、リピート率など)。
  • 業務プロセスの視点:どのような業務プロセスに優れるべきか(開発期間、不良品率など)。
  • 学習と成長の視点:どのようにして変革し向上し続けるか(社員の研修時間、資格取得数など)。

具体例

例えば、ある自動車メーカーがバランススコアカードを導入した際の具体例です。

  • 学習と成長:「エコカーに関する技術研修」の受講率を高め、技術者のスキルを上げる。
  • 業務プロセス:その結果、新エンジンの「開発サイクル期間」を短縮し、不良品率を下げる。
  • 顧客:高品質なエコカーを早く届けられるようになり、「顧客満足度」が向上する。
  • 財務:エコカーの売上が増え、「売上高」および「営業利益」が前年比10%増加する。

このように、「学習」から「財務」への因果関係を見える化し、社員一人ひとりのアクションが会社の最終的な業績にどうつながるかを管理します。

もう少し詳しく

バランススコアカード(BSC)は、1990年代にロバート・キャプラン教授とデビッド・ノートン氏によって提唱されました。従来の経営評価は、決算書などの過去の財務データ(売上や利益など)に過度に依存していました。しかし、財務指標は「過去の結果(遅行指標)」に過ぎず、将来の成長力や顧客の評価といった「未来の要因(先行指標)」を測定することができませんでした。BSCは、これらを総合的に評価するための枠組みです。

BSCでは、4つの視点の間にある「風が吹けば桶屋が儲かる」的な因果関係を明確にするため、「戦略マップ」と呼ばれる図を作成します。学習と成長(社員の成長)が、業務プロセス(仕事の質の向上)を高め、それが顧客(顧客満足・リピート)に伝わり、最終的に財務(売上・利益の増加)を達成する、という論理的なつながりを可視化します。これにより、抽象的な企業のビジョンが、各現場の具体的な数値目標(KPI)へとブレイクダウンされ、組織全体が一丸となって戦略を実行できるようになります。

試験でのポイント

試験では、バランススコアカードの「4つの視点(財務、顧客、業務プロセス、学習と成長)」の名称と、それぞれの視点に紐づく具体的な指標(KPI)を選択肢から正しく組み合わせる問題が非常によく出題されます。

例えば、「社員の資格取得率」や「研修実施回数」は「学習と成長の視点」、「製造プロセスの歩留まり率」や「クレーム処理時間」は「業務プロセスの視点」、「新規顧客の獲得率」や「ブランド知名度」は「顧客の視点」、「ROE(自己資本利益率)」や「営業キャッシュフロー」は「財務の視点」に分類されます。それぞれの指標がどのレイヤーに位置するかを瞬時に判断できるようにしておきましょう。また、「戦略マップ」の目的が「4つの視点の因果関係を可視化すること」である点も重要です。

関連する用語

バランススコアカードに関連する用語としては、4つの視点の因果関係を図式化する「戦略マップ」や、目標の進捗を測定する「KPI(重要業績評価指標)」、最終的な目標である「KGI(重要目標達成指標)」があります。また、企業のビジネスプロセスを評価・改善する「BPM」や、ITに特化したBSCである「ITバランススコアカード」も関連用語です。

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